マジシャン別Very Best集
Dr.Hiroshi Sawa
The Story of the Pearls
2000/2/17
最初に
沢さんご自身、このマジックをとても大切になさっているようで、あまり演じておられません。テレビでも１，２度放映されたようですが、それもだいぶ昔のことであり、ここ２０年くらいは、国内ではまったく演じられていないのかも知れません。
現象
あまり詳細に現象を書くのは差し障りもありますので、アウトラインと全体の雰囲気だけを紹介しておきます。
テーブルの上にブルーのシルクを広げます。これは海の波に見立てています。シルクを軽く折りたたむたびに、中から貝殻が数個出てきます。
ブランデーグラスの中に、白い砂が入っています。観客に指をグラスの中に入れてもらい、砂をかき混ぜてもらいます。中には砂以外なにもありません。もう一つ同じ形の透明なグラスを取り出し、白い砂を移します。何度か砂をグラスに移し替え、砂の中には何も混ざっていないことを十分確認してもらいます。
グラスを揺すると、砂の中から貝が突然飛び出してきます。それを取り去り、またグラスを揺すっていると、再び貝が現れます。このようにして出現した貝を数個テーブルに並べます。
宝石箱のような箱の中から、直径２センチ程度の丸い貝殻を取り出します。貝殻に砂をかけると、貝殻が大きくなります。もう一度砂をかけると、またさらに大きくなり、最後は直径７，８センチの大きなアコヤ貝になります。
魔法の棒を取り出し、両面を見せたあと振ると、先端に真珠の粒が付いています。取り除いて、宝石箱にしまってから、また棒を振ると真珠が現れます。 途中、真珠の色が変わったり、観客に先ほどのアコヤ貝の上で振ってもらうと、中から一度に数十個の真珠が現れます。
最後は、直径７，８センチもある巨大な真珠がアコヤ貝の中から現れます。
最後に
クロースアップマジックとして、これほど現象とストーリーが見事に結びついたマジックも他にありません。昔からあるマジックでも、素材とストーリーを変えることで、まったく別のマジックに生まれ変わります。
現象はマジックをまったくやっていない一般の人から、超マニアまで楽しめます。なんと言っても、ダイ・ヴァーノンが思わず「サワは天才だ」とつぶやいたのですから、それだけで、どれくらいすごいものか想像できるでしょう。現在、アメリカ人のマジシャンに、日本人のマジシャンとして知っている人の名前をあげてもらえば、１位は「島田晴夫」でしょうが、２位は「沢浩」だと思います。本当にそれくらいアメリカでの知名度は高いのです。
ここ数年、残念なことに沢さんはマジックをあまりなさっていないようです。またいつか復帰され、見せていただける日が来ることを願っています。
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