初心者用、練習のためのアドバイス

技法は秘密の動作

1997/8/20

ダイ・ヴァーノンが、アメリカの専門誌GENII(1968年9月号)でプロとアマチュアの差について言っています。

大変含蓄のある言葉なので、よく味わってください。特に、技術至上主義に陥りがちなマニアには、警鐘にもなるでしょう。


プロとアマチュアの大きなちがいは、プロは奇術の効果とは何であるかを知っている、ということです。プロは観客に何を見せたらよいのかを知っています。効果をよくするためには、どんなやり方でもプロは手段を選びません。
しかるに、アマチュアは、方法(そのやり方)のほうに関心を示します。

(中略)

アマチュアは自分ではすばらしい奇術を演じているつもりかもしれませんが、観客が死ぬほど退屈しているかもしれない、とはついぞ考えてみたこともないのです。

これは絵を描くことに似ています。
たとえ粗末なキャンバスの上に描いた絵でも、それが美しい絵であれば人は感動するでしょう。

しかし世界で一番上等の絵の具、一番値段の高いキャンバスを買って、贅沢なビロードの上っぱりを着て、豪華なスタジオで描いた絵でも、もしそれが下らない作品なら、だれがいったいほめてくれますか。
人が見るのは絵なのです。材料ではありません。

人が見るのは奇術なのです。技法ではありません。

松田道弘訳



マジックで使うテクニックはいつでもシークレットムーブです。「秘密の動作」でなければなりません。ところが、腕におぼえのあるマジシャンはついテクニックを見せたくなります。同じ現象を作り出すとき、わざわざ難しいほうを選ばないと満足しないのがマニアです。しかし、技法のデモンストレーターになっても仕方がありません。

観客が見たいのは現象であって、手段ではないことを忘れないでください。

魔法都市の住人 マジェイア


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