My Favorite Tricks

Paul Halls'

ESPccially WILD

 

E.S.P. Cards

 

1999/10/22


最初に

タイトルの"ESPecially WILD"という名前は、"E.S.P.""especially""Wild Cards"の3つを掛けてあるのはすぐに気がつくでしょう。これが発売されたのは1990年です。そのときすぐに購入して、私もそれなりに気に入っていました。しかし1993年に出たMax Howardのビデオ、"EFFECTIVE PRESENTATIONS: How TRICKS Become MAGIC"でマックス・ハワードがやっているのを見て、一層面白いと思いました。

現象

解説書にある、オリジナルの現象を紹介します。

「丸」、「十字」、「波」、「四角」、「星」の5種類からなる「E.S.P.カード」をそれぞれ2枚ずつ、計10枚を使います。普通は一色ですが、これは上の写真のように5色になっています。

第1段:10枚の「E.S.P.カード」を見せたあと、5枚は表向きに、残りの5枚は裏向きに並べます。術者は表向きのカードから1枚を予言のカードとして選びます。これは観客も一緒に見ていますので、何を選んだかわかっています。

次に、裏向きの5枚の中から、観客に1枚選んでもらいます。それを表向きにすると、術者が予言として選んでいたものと一致しています。(この部分は大変フェアーです)

第2段:「ワイルド・カード」のような現象です。一致した2枚のカードの間に、残りのカードを挟むと、10枚とも全部、予言のカードに変わってしまいます。

コメント

原案者のポール・ハラスは、マニアに見せるのであれば第1段だけを見せ、一般の人に見せるときは、両方ともやったほうが良いとアドバイスしています。

マニアに見せるときのことなど、ある意味、どうでもよいのですが、一般の人に見せるときでも、第1段だけでもよいと思うほど、驚いてくれます。2段目を見せてしまうと、現象は確かに強烈なのですが、普通のマジックになってしまい、E.S.P.カードを使った「超能力の実験」という雰囲気は消えてしまいます。最後に10枚のカードがすべて同じものになってしまうと、第1段の現象などかすんでしまう恐れがあります。

ビデオでやっているマックス・ハワードの見せ方は、「E.S.P.カード」の創始者である、デューク大学のライン博士の実験を再現するという演出で行っていますので、第1段だけでも十分不思議に見えます。

なお、今回、このESPecially WILDを紹介しましたが、本当はこのトリックを紹介しようか、マックス・ハワードのビデオを紹介しようか迷ったくらいです。マックス・ハワードというのはプロのマジシャンでもありますが、俳優もやっています。マックス・B・ニンブル(Max B.Nimble)の名前で、子供向きのテレビ番組にシリーズ出演し、1977年にエミー賞を受賞しています。役者だけあって、演出やセリフには大変力を入れています。ビデオのサブタイトル、「どのようにして手品は魔法になるのか」"How TRICKS Become MAGIC"をみてもわかるように、手品を魔法に昇格させてはじめて、手品がエンターテインメントになることを強調しています。ちょっとしたトリックでも、自分のキャラクターにあったセリフや演出を工夫することで、自分にとっては他に代え難い、重要なレパートリーになることはめずらしくありません。

このビデオでやっているスポンジボールのルーティンや、1ドル銀貨を3枚使った移動現象も、私は気に入っています。実演しているトリックは6つだけですが、いずれも彼が本当に好きでよくやっているマジックであることがわかります。最近発売されるビデオはどれも3巻、4巻のセットで売り出されますが、あれは営業政策上、そのほうが儲かるからでしょう。実際は4巻を全部見ても、その中で、気に入るのはひとつかふたつもあればよいほうです。このビデオでは、6つしかやっていなくても、そのうちの半分の3つくらいは実際にやってみたくなりましたから、私にとっては安い買い物でした。

最後に一言

"ESPecially WILD"に添付されていますカードは、上のよう写真にあったような色分けされたカードです。「超能力の実験」という雰囲気なら、オリジナルのE.S.P.カードのほうが適していますが、カラフルなカードなので、2段目の現象、すべて同じカードに変化してしまうのも、決して悪くありません。原案者は10枚いっぺんに変えていますが、ハワードは5枚ずつ、変化させています。私もこのほうが効果的だと思います。

マックス・ハワードの先のビデオは、セリフがプレゼンテーションの重要な役割を担っていますので、英語が聞き取れないと、その良さが十分わからないかも知れません。セリフ抜きで、現象だけを見てしまうと、どうってこともないマジックに見えてしまいます。本当はそのことから、あるマジックが自分のレパートリーになるかボツネタになるかの違いがどこにあるのかわかっていただきたいのです。見た目の現象だけでは、トリックはマジックになりません。自分なりのプラスアルファがそこに付け加えられたとき、それは自分のレパートリーになります。そのあたりのこともよくわかるビデオです。

★製品名:ESPecially WILD(エスペシャリー・ワイルド)
☆考案者:PAUL HALLAS
★発売元:Meir Yedid
☆価 格:$15.00 (1999/10)
★分 類:ESPカード、メンタル

魔法都市の住人 マジェイア


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