My Favorite Tricks

 

McDonald's $100 Routine

 

1999/3/19

最初に

日本では、『マクドナルドのフォーエース』として、よく知られているカードマジックです。ハンバーガーのマクドナルドとは何の関係もありません。『マクドナルドの100ドルルーティン』というのが、正式の名前です。

マックドナルドはアメリカ人のマジシャンでした。片腕しかないという大きなハンディキャップがあったにもかかわらず、驚くようなマジックをいくつも考案しています。

中でも、この「フォー・エース・トリック」は最も有名であり、多くの観客を驚かせてきたマジックです。マクドナルド自身、このトリックを大切にしており、めったなことでは教えなかったのです。どうしても習いたいという人には、100ドルの講習料を取っていました。50年以上前の話ですから、今なら一体いくらくらいなのでしょう。2,30万円くらいのものなのでしょうか。

実際、このマジックは今でも数多くのプロマジシャンがレパートリーに入れ、演じていますから、十分、それくらいの価値はあります。

現象

4枚のエースを取り出し、テーブルの上に表向きに並べます。各エースの上に、3枚ずつ裏向きにトランプを置いて行きます。 この時点では、各山(パケット)の一番下に、表向きになったエースが3枚のトランプの下から見えています。

エースの中で、スペードのエースをリーダーとします。観客に、スペードのエースが含まれているパケットの上に手を置いて、上からしっかり押さえてもらいます。

残りの3つのパケットからエースを順番に消して行き、観客の手の下にある、スペードのエースのところに、すべてのエースを集めると宣言します。

最初のパケットを取り上げ、広げて見せます。確かに一枚のエースと、普通のトランプが3枚あります。この4枚を一枚ずつテーブルの上に表向きに捨てて行くと、エースが消えてしまいます。4枚とも普通のトランプになっています 。

これを残りの二つのパケットでも行い、すべてのエースを消してから、観客が最初から押さえていた、スペードのエースを見てもらうと、そこには4枚のエースがすべて集まっています。

コメント

このトリックは、1959年に出版された、"Dai Vernon's More Inner Secrets of Card Magic"(Lewis Ganson著)のなかで、はじめて解説されました。その後、フランク・ガルシアが、ニューヨークのマジックショップ、タネンからガルシアのバリエーションを売り出しています。"New Stars of Magic"シリーズのVol.1, No.2で、"MaDonald's $100 Four Aces"として、これだけを解説した数ページの解説書です。

上の「現象」の部分で、観客に、最初からスペードのパケットの山を押さえてもらい、そこに集めると宣言するのは、フランク・ガルシアのアイディアであると思います。

また、原案ではマクドナルド自身が片腕しかないため、3枚のエースを消して行くところは同じ消し方を使っていますが、ガルシアの方法では、すべて異なった消し方をしています。

何にせよ、これは古今東西のカードマジック、ベスト・テンを選べば間違いなく入る、大傑作です。

私もこれまで数え切れないほどやっていますが、観客が前もって押さえていた手の下から、消えたエースが出てくると、本当の魔法でも使ったのかと思うほど驚きます。 何と言ってもスペードのエースを押さえた時点では、まだはっきりと3枚のエースは見えているのですから、信じられないのでしょう。

魔法都市の住人 マジェイア

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