マジシャン紹介

フィル・ゴールドスタイン

Phil Goldstein

Phil Goldstein

 

1999/4/14記


Phil Goldstein(フィル・ゴールドスタイン)(生年月日不明)。ステージに立つときの名前は、Max Maven(マックス・メイビン)を使用。日本では、「メイビン」と韻を踏んで、「マックス・名人」と名乗っています。現代を代表するメンタリストの一人。 パフォーマーとしてだけでなく、ランス・バートンをはじめとする有名マジシャンのアドバイザーやショーのプランナーもやっています。日本には1981年4月以来、何度も来ており、日本語もかなり喋れるので、日本でレクチャーもよくやっています。1988年度の石田天海賞受賞者でもあり、作品集『「フィル・ゴールドスティン・コレクション』(石田天海賞委員会)も出ています。

16、7歳の頃、アンネマンというメンタリストが発刊していた雑誌"Jinx"を読み、多大な影響を受けました。メンタルマジックこそ、マジックの中で自分に一番合っている分野だと確信し、メンタリストになったそうです。

彼のライブショーを見ると、マジックをやっている人が見ても、「どうして?」と叫びたくなることが珍しくありません。彼は、"Verbal Control"(言葉による誘導)が実に巧みです。"Equivoque"(エキボーク)と呼ぶ技術、つまり、言葉を操ることで、観客自身があるものを自由に選択したと思わせながら、実際にはマジシャンがコントロールして、特定の品物を観客に選ばせてしまう技術にたけています。これは、「マジシャンズ・チョイス」(奇術師の選択)としてよく知られているものと同じですが、それをより一層自然で、説得力のあるようにしています。観客自身が自分の意志でそれを選んだと確信していながら、実際にはマジシャンにコントロールされてしまいます。

ショーの中でも、この種の原理を使ったマジックを多用します。ある意味、これは目に見えるような意味でのタネはありませんので、うまく使われると、後で考えてもどうやったのか、手がかりすらつかめないことが少なくありません。

このような心理的な誘導をうまく使いながら、裏ではメカニックなネタを使うことも決して嫌いではないようです。この二つを適切に混ぜられると、マジシャンが見ても解決不可能に見えるマジックができあがります。

単品の売りネタも1970年代から数多く出しています。昔のものでは、"ICE DICE"と呼ばれるネタも私は好きで、いっときよくやっていました。2個の透明なアクリルで出来た角砂糖程度の立方体をサイコロに見立てて演じる簡単なメンタルマジックです。即席で見せるのなら、本当に氷のかたまりか、角砂糖でもできます。

数ある売りネタの中でも、世界的な大ヒットとなったのは、"B'Wave"でしょう。これは1990年代に発表されたメンタルマジックの中でも、後世に残る作品のひとつになることは間違いありません。

まとまった本としては、1990年に出た"FOCUS"(Hermetic Press)くらいでしょうか。これはカードマジックばかりを集めた本です。これを読むと、彼はメンタリストとは別に、一マニアとしてもマジックが好きな人であることがよくわかります。マニア好みのマジックが満載です。

中でも、"Impressions"(物真似)というタイトルの作品は、1970年代、コンベンションなどに参加したとき、ロビーでマニア相手によくみせていたそうです。フレッド・カップス他、ごく数名にだけ教え、彼のペットトリックになっていました。現象は、「ユニバーサルカード」の一種です。1枚のジョーカーが、次々と観客の選んだカードに「変身」して行きます。いかにもコンベンションでマニア相手に見せる作品だけあって、大変凝ったルーティンになっています。うまく演じるには、指先の技術よりも、演技力が必要です。


日本語の本としては『トランプの動物園』(マジックマガジン社)、『トランプの夢』(マジックマガジン社,1984年)『トランプの活花』があります。英語では1970年代から、レクチャーノートやパンフレットのような薄い本を数多く出しています。ビデオは1997年に"MAX MAVEN'S VIDEOMIND"L&L (PUBLISHING、全3巻、各巻29.95ドル、3巻セット84.95ドル)が出ています。ステージ、パーラー、クロースアップと見せる場所にわけて録画されています。

魔法都市の住人 マジェイア


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