マジシャン紹介

マーコニック

Marconick (1930-)

Marconick


2000/4/19 記


オランダ生まれのステージ・マジシャン。シルクを使ったマジックを数多く考案し、FISMマニュピュレーション部門で第1位(1955年)、ゼネラル部門で第1位(1961年)を獲得するなど、世界の代表的なコンベンションで受賞しています。1971年と1980年に来日し、ショーやレクチャーで華麗なマジックを披露しました。

マーコニックのマジックの特徴は、ひとつひとつのマジックが短いことです。どれも十数秒から三十秒程度で終わります。そのため、ステージで15分程度の演技を行うと、数十のマジックを演じることになります。これはマーコニックの仕事の中心になっていたのがナイトクラブであったことと関係しています。

ナイトクラブのような場所でマジックを見せるとき、ひとつの現象が起きるまでの時間が長いと観客に見てもらえません。一般的に言って、マジックは途中少しでも目をそらすと、最後の現象だけを見ても何が不思議なのかわからないことが多いものです。全体を最初から最後までしっかり見ていないことにはマジックとして成立しません。しかしキャバレーなど、客がお酒を飲んでいる場所で演じるとき、観客に最初から最後まで、目を凝らしてじっと見てもらうことを期待するのは無理です。ひとつのマジックに1分以上かかるようなものは、その間、客がお酒を飲んだり、隣の人と喋ったりすることも増えます。それを避けるため、ひとつあたりの時間を極端に短くしていました。短ければ、仮に客が横を向いていて、そのマジックは見られなくても、すぐ次のものが始まりますから退屈せずに済みます。

マーコニックの代表的なトリックをあげるのが難しいほど、どれも鮮やかで現象のはっきりした傑作揃いです。なかでもとりわけ観客が驚くものとしては「シルクの爆弾」(Silk Bomb)があります。十数枚のシルクを、中が透けて見えるボール、実際にはサラダの水切り用の容器ですが、これに詰めて空中に放り投げると、中にあった十数枚のシルクが一瞬にして全部消えてしまうものは鮮やかで、驚きます。これも現象が起きるのは本当に数秒のことです。このトリックはマジックショップから販売されていました。

マーコニックがステージ実際に演じていた数多くのトリックは、ほとんどすべて彼の本から学ぶことができます。

Marconick's Original Magic(Kligsor,1967年、200ページ)一冊の中で、3カ国語の解説が入っています。これはハードカバーですが、これ以後のものはレクチャーノート形式で薄くなっています。第2巻から第5巻まであり、最後の5巻目が出たのが1973年です。関連図書としてMarconick's Silk Magic(Unique,1964年)があります。

上にあった写真は、日本文芸社から出た『シルク奇術入門』(松田道弘著、1975年)の表紙に使われていたものをお借りしました。現在、この本は東京堂出版から『シルクマジック』として出ています。これは日本で初めての本格的シルクマジックの本です。古典的傑作から、ごく手近にある普通のハンカチなどでもできるマジックが数多く解説されていますのでお薦めします。

魔法都市の住人 マジェイア


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