ROUND TABLE

Coffee Break

 

トランプについての雑談

F.A.O. Schwarz in New York

 

1998/11/25


トランプについての雑談といっても、松田さんが岩波書店から出しておられる『トランプものがたり』(松田道弘著 岩波新書 1979/11)のような高尚な話ではありません。

少し前、「マジックに適したトランプの選び方」を紹介しました。それに関連した話です。

トランプマジックにはU.S.Plyaing社の「バイシクルシリーズのライダーバック」(Bicycle, Rider Back)が定番です。U.S.Playing社の紙製トランプはラスベガスをはじめ、世界中のギャンブル場や一般家庭で使われています。日本で普及しているプラスチックのトランプは小さな子供が遊ぶためのものです。マジックに使うことは絶対にありません。

もう10年ほど前のことですが、ニューヨークに行くとき、松田さんから、KEMというメーカーのトランプを買ってきて欲しいと頼まれました。当時、日本ではほとんど見かけることのないメーカーでした。しかも、これはプラスチックでできていて、値段もバイシクルが2ドル程度で買えるのに、12、3ドルもします。ざっと6倍くらいです。こんなに高くて、しかもプラスチックのトランプなんてすぐに割れたり、汗をかくとトランプがくっついて使いにくいのに、なんでわざわざ松田さんが欲しがっておられるのか不思議でした。わけをうかがうと、このトランプには普通のプラスチックのトランプにはない、いくつかの長所があることを教えていただきました。

1.プラスチックでできているが、表面に特殊な加工がしてあり、紙のようなざらつきがある。そのため汗をかいてもトランプ同士がくっつかない。

2.普通に使っている限り、トランプの角が欠けたり、どこかが割れたりすることはない。

実際、どのくらいこれが丈夫かということを示すために、販売店ではこのトランプを一枚天井から吊してあり、「手で破ってみてください」と書いた張り紙がしてあるそうです。手だけで破ろうとしても、まず破れません。

3.洗濯可能

「選択」の変換ミスではありません。「洗濯」です。つまり"Washable"なのです。実際に洗濯できます。これにはちょっと驚くでしょう?

トランプは普通2ドル程度のものですから消耗品扱いです。しばらく使って汚れてきたら、すぐに新しいものに買い換えます。ところがこのKEMのトランプは、汚れてきたら家庭用の中性洗剤で洗って乾かせば、また新品のようになるのです。注意書きには、「ただし、洗濯機には入れるな」という、冗談なのか、真面目なアドバイスなのか、判断しかねるようなことも書いてありました。ぬるま湯で洗って、あとは軽く水を切ってから陰干ししておけばきれいになります。

話のネタに一組くらい持っていてもよいので、F.A.O.シュワルツ"F.A.O. Schwarz"に買いに行きました。ニューヨークのセントラルパークのすぐ側にある大きなおもちゃ屋です。ここはビル全体が全部おもちゃ売場で、世界中のおもちゃから、各種テレビゲームまで数多く揃っています。安いものもありますが、大変高価なものも数多く揃っています。

子供用の電気自動車などで、1万ドル以上するものもありました。本物の自動車が買えそうな値段です。アラブあたりのおぼっちゃまが、部屋の中を移動するのにお使いなのかもしれません。

電気自動車はうちの家には全然必要ないのでパスしましたが、トランプが二組入る革のケースで素敵なものがあったので欲しくなりました。値段をもう一度確かめると一桁違っていました。700ドルほどしていました。欲しかったのですが、2ドルのトランプを入れるケースに、700ドルも出すのは同伴者の視線もありあきらめました。だってこんなのを買ったら、すぐ近所にある、ティファニーで何を買わされるかわかったものではありません。そっちは700ドルくらいじゃ済まないのはわかっていますから(汗)。

話が逸れましたが、ここならKEMのトランプもあるだろうと思い、トランプ売場の辺りを探してみたのですが見つかりません。店員に「KEMというwashableで有名なトランプはないか」とたずねてみると、置いていないということです。おまけに「washableって何のことだ?」って聞かれてしまいました。「洗濯ができるトランプだ」と説明してあげると驚いていました。 そんなヘンなものが欲しいのなら、「ウインドプルーフ」のものならあると教えてくれました。

ウィンドプルーフ?何だろう、風に強いのかな?

よくわからないので、とにかく見せてもらいました。

棚から下ろしてきたのは、大きな箱です。中からトランプを取り出し、触らせてもらったら、びっくりするほどの重さがありました。なんとこれは、すべてのトランプが鉄板でできているのです。 さらに箱の中にはトランプで遊ぶときにに使う小さな台が入っています。縦横が50センチ程度のもので、トランプを置いたり、カードを捨てたりするのに使う置き台のようなものです。

この台に磁石が仕込んであるので、トランプを台の上に置いても風で吹き飛ばされることがありません。海岸でカードゲームをしても大丈夫というのがキャッチフレーズでした。

確かにこれなら風の強い海岸でもできます。 おもしろそうなのでみやげにひとつ買って帰ろうかと思いましたが、箱全体を持つと、むちゃくちゃ重いのです。52枚のカードが全部鉄板でできていて、おまけに台に磁石が仕込んであるのですから重くて当然です。帰りの飛行機のことを考えると、重くてかさばるので、買うのはやめました。

結局、F.A.Oシュワルツで買ったのは、知人の子供達にあげる小さなぬいぐるみを10点ほどと、空中に飛ばすと手元に戻ってくる紙飛行機。マジックコーナーもあったので、そこでやっていた「お化けハンカチ」、ボードゲームで、"Therapy"(セラピー)と書いてあるゲームです。

この「セラピー」は、フロイトが昔、患者に行っていた治療方法、つまり長椅子に寝かせて、自由連想で好きなことを喋らせるあのスタイルの絵が箱に描いてありました。サイコセラピーか、精神分析のシミュレーションゲームのようです。おもしろそうなのでこれを買いました。結構大きな箱なので、これを持ってうろついていると目立ち、すれ違う人からヘンなものを買うなあと声をかけられたので、「私は神経症だ」と返事をしておきました。

★補足

ここのマジックのコーナーは大変小さく、マジシャンが小さなテーブルを出して数点実演販売しているだけです。私が行ったときは香港製の安いネタを何点かやっていました。しかし、昔はここで、コインマジックのエクスパート、デビッド・ロスがやっていたこともあるそうです。

魔法都市の住人 マジェイア


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