ショー&レクチャーレポート

1998/5/20記


ミスター・カラー ライブショー
Mr.Color Live
in Roppongi Valentine!

日時:1998年5月18日(月曜)
会場:港区六本木 「六本木バレンタイン」

1部
開場:6時30分
開演:7時40分
料金:6,000円(2ドリンク付き、食事はバイキング形式)

2部
開場:9時30分
開演:10時
料金:4,000円(2ドリンク付き、食事はバイキング形式


5月の中旬、東京に数日いました。麻布十番へ食事に行くとき、偶然、Mr.Colorのマジックショーが六本木であることを知り、以前から注目していたマジシャンでしたので、少々予定を変更して見に行ってきました。そのときのレポートです。

Mr.Colorは、昨年(1997年)の7月から今年のはじめまで、お昼のテレビ番組「笑っていいとも」に、火曜日のレギュラーとして33回出演していました。 タモリ、久本雅美、中居正広、ココリコ、木佐彩子といったツッコミのきつい人達に囲まれながらも、巧妙なミスディレクションで完全にみんなを引っかけていました。このことからだけでも、かなり達者な人だとわかるでしょう。

番組の中で見せるマジックはどれも大変センスがよく、セレクションにはいつも感心していました。年齢はおそらく20台半ばだと思いますが、最近出てきた若手のマジシャンの中では注目している一人です。キャラクターも、シャイな部分とふてぶてしさの兼ね合いがよく、マジシャンに向いています。愛嬌もあり、感じのよいマジシャンですから、あのような人気番組に33週間も出演できたのでしょう。

"Mr.Color"というステージネームは、毎回、舞台衣装を派手な色で統一しているところから付いたそうです。ピンクの服のときは、靴から髪の毛の一部までピンクに染めています。上から下まで、同じ色でそろえるようです。全部で、7色くらいあるのでしょうか。

今回の会場は、六本木の交差点から防衛庁のほうへ徒歩1分ほどのところにあるビルの4Fです。入ってみると、ライブハウスのような雰囲気の場所です。入り口で飲み物が2種類選べるチケットをもらい、バイキング形式の料理が数種類置いてあるので、自由に取って食べられるようになっていました。

マジックを見せてもらうときの状況としては、レクチャーのような会場より、適度に食事や飲み物があり、それらの合間に、いくつか見せてもらうというのが、私は一番好きです。レクチャーなどではどうしても数多く見せてもらうことになり、疲れてしまいます。また、ネタを知るだけならビデオもありますから、ライブでマジックを楽しむときは、本当に優秀なマジックを数種類見せてもらえたら十分です。

また、マジシャンの本当の実力を知るには、レクチャーなどではなく、一般の観客相手に見せているときの姿を見せてもらうのが一番よくわかります。今回は、以前から注目していたマジシャンでもあり、加えて、私の好きな条件がそろっていたので、予定を少々変更して行ってきました。

ただ、この会場は、食事や飲み物が付いていると言っても、ライブハウスによくある簡単なものですから、そちらはたいしたこともありません。それでも手元に何か軽い飲み物があるだけで、何もないよりかは、ずっとリラックスできます。また、マジックではない同伴者を誘うにしても、このような場所なら全然抵抗なく誘えます。


★オープニング

証明が暗くなり、派手な音楽と共にMr.Colorが二本の火のついたトーチをもって現れる。 頭にはワイヤレスマイク、衣装はブルーで統一されている。

2本のトーチがそれぞれ赤いシルクとステッキに変化する。

ステッキをシルクで撫でると、ステッキの色が変わる。その後、「鳩」「カードマニピュレーション」「ファウンテンシルク」などを、音楽をバックに、5分くらいの間に10種類演じる。(せりふはなし)

内容を詳しくレポートすると、彼の営業に差し支えるかもしれないのでカットします。

これまで、Mr.Colorのマジックは、昼のテレビでやっていたクロースアップマジックしか見たことがなかったので、彼のステージを見るのは楽しみでした。やはりクロースアップ同様、大変センスはよく、ステージのセレクションもよく考えられていました。
これからの課題としては、セリフなしで、音楽だけをバックに演じるステージでは、もっとダンスやパントマイムの勉強がひつようではないでしょうか。意味のない動作が若干目につきました。

彼の場合、スライハンド"slight of hand"(テクニックのことです)を中心としたものと、ネタモノをうまく混ぜています。マジックのコンベンションでよくあるような、テクニックだけで演技を構成するようなものではありません。コンベンションなどでは、審査の対象となるのは、どうしても派手なフラリッシュや、マジシャンにしかわからないような技法を入れることで高得点を狙いますが、プロがステージで見せるマジックにはそのようなものは不要です。そのあたりのバランスがMr.Colorの場合、ちょうどよいのです。そのあたりにも、彼のセンスの良さがうかがえます。

オープンニングの派手なステージが終わった後、いつものおしゃべりが中心のマジックを見せてくれました。

★リクエストマジック

「象を消すマジック」「一万円を千円に変えるマジック」「お金を消すマジック」のどれが見たいか、観客に尋ねて、それで演じるマジックを決める。(半分、ジョーク)

★CARDIOGRAPHIC(カーディオグラフィック)

マニアにはお馴染みの、スケッチブックに描いたトランプが上がってくるマジック。

このトリックは、私も以前から紹介していますように、本当に優秀です。いったいどのくらいのプロの人達がレパートリーに入れているのかわからないくらい、大勢やっています。

★お札の飛行

観客から千円札を借りて、隅を一部破る。その切れ端を観客に持っていてもらう。 残りの部分をティッシュペーパーで包み、火をつけると一瞬に燃えてしまう。
最初から、テーブルにフランスパンが数本立ててあり、その1本を観客に選んでもらう。それを中央から切ると、中からお札が出てくる。破った隅の部分と合わせると一致する。最後は、そのお札を完全に復活させてから観客に返す。(お札の番号のチェックが入っている)

これの原案は、シルクにサインをしてもらって、それをフランスパンの中に飛行させるというよく知られたものです。今回、シルクではなく、お札でやっていましたが、これを見せてもらったら、シルクよりこちらのほうが「即席」という感じがしてよいと思いました。

「フランスパンとシルク」という組み合わせは、なんだか取って付けたような感じがしますが、お札だとそのような感じはしません。

Mr.Colorの場合、最後のお札の復活をする前に、札の番号を観客にチェックしてもらってから復活させていましたら一層不思議です。しかし、普通はそこまでやる必要はないでしょう。番号のチェックなしで復活させて、お札を返しても十分だと思います。準備が可能ならやればよいのですが、あそこまでやると、お札がパンの中に移動したことより、番号をチェックして破ったお札が、完全に復活したことのほうが印象に残ってしまうような気がします。

★カード剣

フェンシングのときに使うような剣を一本取り出す。

観客に1枚のトランプを選んでもらい、覚えたらそれをしばらく持っていてもらう。
マジシャンはもう一組別のトランプを取りだし、52枚を空中にばらまく。落ちてくるトランプの中から、剣で1枚のトランプを突き刺し、表を見せると、それが観客の取ったトランプと同じものである。

このタイプでは、普通、観客がトランプを覚えたら、トランプを返してもらって、それも含めて空中にまき、それを剣で突き刺しますが、Mr.Colorは別のトランプを使っていました。これは、覚えてもらうだけだと、最後のクライマックスのとき、トランプの名前を言ってもらう際に、観客が何のトランプだったか忘れていることがあるため、それを避けるためでしょう。それともう一つ考えられるのは、ごくまれに、床に落ちたトランプの中にデュプリケイトカードが発見されることがあるからでしょうか。いずれにしても、これは参考になると思います。

★アンコール

マニアにはお馴染みの、ケビン・ジェームスの傑作「フローティング・ローズ」。

オリジナルの現象は、白い紙でバラの花を作り、それを空中に浮かべます。浮かんでいる花にキャンドルで火をつけると一瞬に燃え上がり、本物のバラの花になり、それを手伝ってもらった女性にプレゼントします。不思議でとてもしゃれたマジックです。 デビッド・カッパーフィールドもステージでよく演じています。

今回のMr.Colorの場合、調子が悪かったのか、浮かんだ花が逆さまになっていました。(笑)また、本物のバラに変えるところもありませんでした。何かトラブルがあったのかもしれません。

★全体の印象

私が見たのは1部です。開演が7時40分で、終わったのが8時15分ですから、正味35分です。マジックのショーを見慣れている人には、時間が短く、もっと見せて欲しいと思うかも知れませんが、私は十分でした。数や時間は問題ではありません。マニアではない一般の人に、マジックを楽しんでもらうには、このくらいの時間と量で十分です。

今回のショーは、時間にして35分ですが、個別に数えて行けば、おそらく30くらいのネタは詰まっていたと思います。

魔法都市の住人 マジェイア

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