ショー&レクチャーレポート

 

MAGIC CASTLE

IN NOVEMBER FESTIVAL

京都大学11月際(98年)

京都大学奇術研究会主催

1998/12/13


日時 1998年11月20日(金曜日)から23日(祝日)


入場料 大人300円 小人200円


会場 A号館地下第4教室

 

時間 テーブル ステージ
第1ステージ 10:40〜 11:00〜
第2ステージ 11:40〜 12:00〜
第3ステージ 12:40〜 13:00〜
第4ステージ 13:40〜 14:00〜
第5ステージ 14:40〜 15:00〜
第6ステージ 15:40〜 16:00〜

 

昨年に引き続いて、京大の11月祭の間だけ開かれている「マジックキャッスル」に行ってきた。 「本物のマジックキャスル」はハリウッドにあり、マジックを見せてくれるナイトクラブであるが、これは京都大学の奇術研究会が、大学祭の4日間だけ開くマジックの「劇場」である。

家から京大までは、阪急、京阪、JRを等を利用すると、どのコースを通っても1時間半から2時間近くかかる。今回は時間もなかったので、新幹線で新大阪から京都まで行き、京都駅から京大まではタクシーを利用することにした。これならちょうど1時間程度で着く。しかし、世間は3連休の最中であり、観光シーズンのまっただ中でもあるので、京都市内は車であふれかえっていることが予想できた。タクシーを利用すると、途中で動かなくなる恐れもあったが、京都駅の辺りはそれほど混んでいる様子でもなかったので乗った。すると案の定、10分ほどで停滞が始まり、普段の3倍くらいの時間がかかってしまった。結局、タクシーには40分ほど乗っていた。それでも何とか最後の「第6ステージ」には間に合った。

大学の奇術部の発表会というと、たいていはどこかの大きな会場を借りて、1回だけの公演が普通である。2時間ほどの間に、2、30名ほどの出演者が様々なマジックを見せてくれる。

ところが京大の発表会は、他の大学とはスタイルが違う。

ここは関西の大学で作っている奇術部の団体にも所属しておらず、まったく独立独歩でやっているそうだ。各ステージ入れ替え制で、一日6公演、それが4日間連続であるから計24公演もある。メンバーも入れ替わりで出演するようなので、300円の入場料を払えば、また違った人のマジックを見ることができる。

最初の20分間がクロース・アップ・マジックで、後半の40分がステージ・マジックになっている。昨年は途中から入ったのでステージの部しか見られなかったが、今回はクロース・アップ・マジックも見ることができた。

会場はごく普通の教室、3人掛けの机と、イスが固定されている部屋である。全部で200名くらいが入れるのだろうか。

ステージ・マジックは教室の一番前、教壇の部分がステージになっている。クロース・アップ・マジックもあそこでやるのなら、後ろのほうからは見えないのではないかと心配したが、クロース・アップ・マジックのときは演者が数名客席に散らばり、何カ所かで同時にやってくれた。

実際に見たのは以下のものであった。

22日の第6ステージ

クロース・アップ・マジックの部

数カ所で、同時にやっているので他のテーブルでは何をやっていたのかわからないが、私の座った席では、タキシードを着た部員が見せてくれた。

1.「フォー・エース・オープナー」でエースを4枚出現させる。
2.出てきたエースの下から、コインが4枚出現。
3.そのコインを使って、「コイン・アセンブリー」(途中でリバース現象が入る)
4.「コーネリアスのマッスルパス」を使ったコインのジャンプを見せる。
5.L Irelandの Coin Across」(2枚のコインを使って、「1,2,3,4,..10」と数えながら行う、コインの移動現象)
6.「ハンカチの色変わり」(種明かしをしながらもう一度観客をひっかける例のものだが、最後のオチの部分がさらにもうひとひねりしてあり、ハンカチの色がそれまでとは全然別のものに変わる。(3色の色変わり)
7.マイケル・アマーの「クレイジー・マンズ・ハンドカフ」(2本の輪ゴムがつながったりはずれたりする)

技術的には全然問題なく、観客にもよくうけていた。

ステージマジックの部

1.「ピラミッド」(折り畳みができる金属製の四角錐の容器から、次々とハンカチやボールなどが出てくる。)
2.「シンブル」(裁縫などに使う、西洋の「指ぬき」が両手の指先に出現したり、消えたりする。)
3.「ロープとリング」(ロープにリングを通してもはずれたり、また貫通する)
4.「玉子を使ったビリヤードボール」(基本的な現象は「増加するビリヤードボール」だが、それを卵で演じていた。本物の卵であることを示すために、何度も割っていた。 昔(30年以上前)、大阪奇術愛好会の赤松氏が学生であった頃、発表会で一大センセーションを巻き起こしたが、それとは原理も演出も違っている)
5.「白紙がお札になる」マジックと空中から、次々とコインを出現させる「マイザーズドリーム」 唯一、女性の演技者であった。
6.「宝石のプロダクション」と「キャンドルの消失出現」(FANTASIOのキャンドルだと思うが、これは大変うけていた。やはり火のついたキャンドルが出現したり消えたりするのはインパクトが強い)

雑感:昨年も書いたと思うが、京大のはヘンにプロっぽくなくてよい。他の大学の発表会と比較すると、会場も普通の教室を即席に改造しただけのものであるし、ステージで使っている『捨てかご」なども、段ボール箱にきれいな紙を貼って作っただけのものである。高校の文化祭の延長という雰囲気がしないでもないが、意味のないところに金をかけるより、手作り風マジックキャッスルというのも悪くない。やっているマジックは決してレベルの低いものではなく、マニアが見ても十分楽しめる。私なんか、クロースアップもステージも、ことごとく引っかかった。時間も全体で60分程度なので疲れることもない。これなら大学祭に来た一般の人が、看板につられてワンステージくらい見ても負担にならないだろう。

プロに習っているアマチュアの演技を見ていると、妙にそのプロ固有の動作などが入っており気になることもあるのだが、ここのメンバーはみんな、アマチュアとしての芸に徹している。マジックが好きでやっているという感じが伝わってくるのが一番よい。

昔から、どこの大学の奇術部でも、学生時代、クラブでマジックに熱中していた人が、大学を卒業と同時にマジックをやめてしまうというケースが大変多い。95%位の人が卒業と同時にやめてしまっている。これには色々な原因があるが、その最大の理由は、学生時代、自分で勉強する習慣がついていなかったからだろう。先輩から習ったものだけを覚えてやっているだけだと、卒業して情報がストップしてしまとやるものがなくなり、飽きてしまう。何でもそうだが、ある程度は自分から勉強してみようと言う意識がないかぎり続かない。卒業と同時にやめることが悪いわけでもないし、他のものに興味が移っても一向にかまわないのだが、せっかく舞台にかけられるほど練習した芸を持っているのだから、それを捨ててしまわないで、継続して練習して欲しい。少しでも改良を重ね、プラスアルファを付け加えて行けば、10年、20年後には、どこででも見せられるくらいの芸になっているものである。          

魔法都市の住人 マジェイア

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