★立川談志師匠の御言葉<其の一>要領の悪い落語家は、”どうしてこんなことを咄(はなし)の中に入れるのか”と思うような無駄なところが多い。
立川談志 (1936-)
『談志人生全集 第三巻 大名人のつもり』(立川談志著、講談社,1999年12月)
マジェイアの蛇足
落語家の立川談志師匠の御言葉です。これは落語に限らず、すべての芸事に当てはまります。名人、上手と言われる人の芸には無駄な部分が何もありません。「一事が万事」で、「どこが」と言われても言い出せば切りがありません。「せりふ」でも「動き」でもすべてに当てはまります。
極力無駄を省いた状態になってはじめて、その人特有の個性が出てきます。名人上手の人の芸でも、無駄と思えるものがあることがありますが、それは計算された無駄です。ただの無駄ではありません。本当に無駄だらけの状態で、その上に自分なりの何かを付け加えても、厚塗りの上にさらに化粧を重ねるようなもので不気味なだけです。とにかくいったんはすべての無駄をそぎ落とす必要があります。
「無駄をなくせ」と言っても、これはダイ・ヴァーノンの言葉、「頭を使え」と同じで、わからない人にはわかりません。本人はどこが無駄なのか全然気が付いていないのですから、直しようもないのです。
ヴァーノンや談志のような天才からすれば、世間一般のマジシャンや落語家のやっていることなど、9割以上「無駄のかたまり」のようなものでしょう。
無駄を省く特効薬はありません。これはと思う人にでも見てもらい、アドバイスをしてもらうことが一番でしょう。とにかく、意味のない動作、せりふなどは極力排除するように心がけてください。