★ネイト・ライプチッヒ氏の御言葉ダイ・ヴァーノンとの会話です。
「ダイ、私は約50年マジックをやっているが、観客は紳士にだまされるのであれば悪い気はしないものだ。もし彼らが君をひとりの人間として気に入ってくれたら、君の演じるマジックも気に入ってくれるよ」
Nate Leipzig (1873-1939) Dai Vernon's Tribute to Nate Leipzig
マジェイアの蛇足
これはクロースアップマジシャンにとってはまさに箴言です。クロースアップマジシャンは、ステージマジシャン以上に、観客に気に入られることが不可欠です。もしマジシャンが観客から感じの悪いヤツだと思われたら、もう何を見せてもダメです。いくら不思議なもの、とっておきのトリックをやったところで、観客は喜んでくれません。
マニアくずれのセミプロのようなマジシャンによく見られることですが、客に対して挑戦的であったり、ヘンに威張っていたり、また卑屈であったりすると、観客は敏感にそれを感じ取ります。
妙に馴れ馴れしいマジシャンも困ったものです。本人は親密さの表現のつもりなのでしょうが、一歩間違うと、大変失礼な態度になります。観客とマジシャンのとの「呼吸」、「間合い」は、実際に場数を踏むことでしかわからないこともあるでしょうが、観客に対してきちんとした応対ができることがまず第一歩です。それを踏まえて上で、あとは各マジシャンのキャラクターに応じて、どのような態度で観客と接するか、自分で見つけ出すしかありません。