製品情報

 

 
製品名

Psycho Kinetic Dice

サイコ・キネティック・ダイス

原案者 Gary Kurtz
購入先 Stevens Magic Emporium
価 格 $166.00
分 類 メンタル、ダイス

 

PK Dice



1998年12月13日


ちょっと長い前書き

カナダ出身のマジシャン、ゲリー・カーツは10年ほど前、マニアの間で世界的にセンセーションを巻き起こしてデビューした人です。特に有名なのは、ジャンポコインを使ったルーティン"Flurious"です。直径10センチほどの大きなコインを空中から出現させたり、消したりするコインマジックです。マニアの間では大変好評で、彼の演技をコピーする人も続出しました。しかし、私は当時からあれはマジックではないと思っていました。フラリッシュにすぎません。フラリッシュというのは、ジャグリングなどのようなもので、不思議さというより曲芸に近いものです。

5.6年前、彼がプロマジシャンになったと聞いたとき、あのようなマニア好みの芸でプロになれるのが不思議でした。どう考えても、一般の人にうけるような芸ではありません。昨年でしたか、カーツが日本に来たとき、レクチャーとクロース・アップ・マジックのショーをやってくれました。そのとき、昔センセーションを巻き起こした例のジャンボコインを使ったルーティンはまったくやらなかったのです。あれは、プロになったとき、完全に捨てたそうです。それを聞いて私も納得しました。

プロになってからはレパートリーもすっかり変え、テクニックを強調するようなものはやめて、メンタルマジックのような雰囲気のトリックが多くなっています。今回紹介するネタも、そのようなものです。これは彼の売りネタの中では、今のところ、一番新しいものでしょう。

現象

添付されている解説書には、数種類の演出が紹介されています。基本的な現象はどれも同じです。4人の観客にさいころを振ってもらい、出た目を当てる、もしくは前もって出る目を予言しておくというものです。

ひとつ具体的に紹介しましょう。

添付されているフィルムケース(上の写真のもの)を4人の観客に手渡し、よく調べてもらいます。分厚いプラスチックのケースですので、中に何かを入れても、ふたをすれば外からは絶対に見えません。

観客に、それぞれ一個ずつさいころを渡します。これもよく調べてもらい、特殊なさいころでないことを確認してもらいます。フィルムケースの中にさいころを入れてもらい、ふたをしてから、中のさいころをよく振ってもらいます。

マジシャンは、ケースの上から手をかざし、順番に中に入っているダイスの目(一番上を向いている面の目)をふたを取ることなく、透視して行きます。

「3」と宣言してから、ケースを開けると(観客に開けさせてもよい)、確かに「3」です。これを4人、すべてのケースで行います。

前もって封筒に4人の出す目を予言しておいて、それを最後に見せるという演出も可能です。

コメント

166ドルですから、結構高いネタです。さいころの目を透視するといった現象は、これまでにも数多く発表されています。売りネタになっているものだけでも、10種類近くありますから、ヴァリエーションまで入れると、その数倍はあるでしょう。売りネタになっているこのタイプのマジックは、たいてい数百円から千円程度のものです。それから見ると、このカーツのネタは10倍以上しています。勿論、原理が違うからですが、これは決してカーツのオリジナルではありません。原理自体は昔からあり、今でもイカサマ賭博の場では使用されています。最近の賭場では、別室から「丁半」を自由にコントロールできるハイテクの「つぼ」まであります。映画などでおなじみの、例の場面、つぼの中に2個のさいころを入れ、伏せた後、別室から丁半を自由にコントロールできるのですから勝てるはずがありません。このカーツのネタはそこまでハイテクではありませんが、基本的な部分は同じようなものです。

マジックの現象としてはちょっと地味と思うかもしれませんが、演出次第では決して悪くありません。

20数年前、ユリ・ゲラーが日本にはじめてきたとき、「スプーン曲げ」等といっしょに、次のようなものをやっていました。

直径が5センチ程度で、深さが1センチくらいの金属製のケースがあります。「メンソレータム」のケースのような形状です。同じケースが5,6個あります。ふたには番号が1から順に書いてありました。

「超能力者」が目隠しをしている間に、ケースの中に自分のキー(自動車や家の)を入れてもらいます。音がしないようにセロテープで固定してからふたを閉めます。ふたをすると、どのケースにキーが入っているかは入れた本人しかわかりません。ここで「超能力者」はケースに一切手をふれることなく、順にケースの上に手をかざして行きながら、どのケースにキーが入っているのかを透視するのです。

ユリ・ゲラーがこれをテレビでやったとき、このネタだけで30分くらいは引っ張っていました。(笑) 「超能力の実験」という触れ込みであったから、これほどの時間をもたせることができたのでしょう。Mr.マリックがやったとしても、せいぜい、5分くらいしかもたないでしょう。

とにかく、このネタだけで、テレビを見ていた何百万という人々がくぎ付けになり、ユリ・ゲラーの透視能力に驚いたのです。つまり、このような一見、地味なネタでも、演出と状況ではいくらでも観客の関心を引きつけることが可能であるということを知っていただきたいのです。

カーツは、このマジックを演じるとき、フィルムケースを使う方法以外に、ジュースなどを飲むときに使う紙コップの中にさいころを入れるやり方も解説しています。フィルムケースも紙コップも、まったく仕掛けのない日常的なものですから、観客もあやしいとは思いません。紙コップはパーティ会場にありますから、4名の観客に紙コップを持って前に出てきてもらい、それで演じると、一層、即席という雰囲気になり、りっぱなパーティ用のマジックにもなるでしょう

 

魔法都市の住人 マジェイア


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