製品情報

Power Box

製品名

パワー・ボックス

価 格 35,000円
購入先

UGM(名古屋)

製造元 Collectors Work Shop(U.S.A.)
分 類 パーラー、ロープ、お札、復活

 

Power Box

1999年3月28日


最初に

観客から借りたお札が消えて、本物のレモンやタバコから出てくるマジック、「ビル・イン・レモン」「ビル・イン・シガレット」はよく知られていますが、同じようなタイプで、一風変わったものを紹介します。

これは3,4年前に購入しましたので、今でも販売されているかどうかは不明です。また、コレクターズ・ワーク・ショップの商品全般に言えることとして、製品の作りはすばらしいのに、解説書があまりにもお粗末なのです。ほとんど使い物になりません。これは、ここの社長自身がアマチュアのマジシャンであり、プロのマジシャンのように、数百回、数千回、一般の観客の前で実演しながら、練りあげた演出ではないからです。この社長は、はっきり言って、パーフォーマーとしての才能は全然ありません。マニア相手に商品の紹介をするくらいのことはできますが、これを使って、一般の人にマジックを見せてギャラが取れるような人ではないのです。このような解説書を平気で付けていることからだけでもセンスの悪さが想像できます。幸か不幸か、品物だけは良いので、なおさら解説書のひどさが際だちます。

また、ここの商品は、値段は高額なものが多く、マニアでも垂涎の的となっているものがいくつもあります。しかし、実際に購入してみると、ほとんど実演する機会もなく、引き出しの奥にしまい込んだままにしている人が大半だと思います。

私自身、この「パワー・ボックス」も購入して数年になりますが、実際に使用したことはほとんどありません。理由は、添付の解説書が解説書になっていないからです。書いてある演出も、愚にも付かないようなくだらないものでした。おまけに添付されていた日本語訳がひどくて、日本語になっていません。

「このロープには意思の疎通がありません。ロープの手品に必要なことは、お客さんと私の意思の疎通があることです。また、私は意思の疎通を高めるためには経済的な裏付けが伴います」

ひどい訳でしょう。(笑)全然日本語になっていないのがわかると思います。

日本では、名古屋のUGMがコレクターズの日本総代理店になっていますので、もしこれがUGMが付けたものなら、UGMも、もう少しまともな人に訳を頼むべきです。まあ、このような商品を買うのは、超マニアに限られるでしょうから苦情も出ないのかも知れませんが、何にしても余りにもひどすぎる解説書です。

英文で書かれているオリジナルの解説書がひどいのに加えて、この気分の悪くなるような日本語訳を読まされたら、まずやる気などしません。それで、私も買ってから数年間、棚の上に置いたままにしていました。引き出しの中にしまい込んでしまうと、永久に取り出すこともなさそうなので、しばらくの間、目に付くところに置いていました。そのうち、何かおもしろそうな使い方でもひらめくかも知れないと思ってのことです。先日やっと、やってみたくなるような演出を思いつきましたので、紹介することにしました。

現象

マジシャンは、ハンドルの付いた、縦横7センチ、高さが15センチくらいの金属製の箱を取り出します。

「これは先日イタリアへ行ったとき買ってきた小型のパスタ製造器です。昔からある、一般的な機械は、これの2,3倍の大きさがあります。普通のパスタ製造器ですと、勿論パスタしか作れませんが、これはもう少し不思議なこともできるのです。パスタに限らず、細かく切ったものをこの中に入れ、ハンドルを回すと、それがつながって出てきます。パスタに似たもの、例えばロープを使ってやって見せましょう」

マジシャンは長さ40センチほどのロープを取り出し、それをハサミで何カ所か切り、1本が数センチの長さになるよう、細かく切断します。

さらに、観客から1万円札を借ります。借りたお札の番号を読み上げ、メモ帳にでも記録してもらいます。

このお札も、はっきり見える状態で二つに破ります。さらに細かく破ります。 お札を破ることに抵抗があるのなら、トランプでも代用できると思います。

とにかく、この細かく切ったロープとお札を「魔法のパスタ製造器」に入れて、ハンドルを回します。すると上の写真のように、切れたロープがつながって1本になり、下の穴から出てきます。しかし、途中で機械の調子が悪くなり、ハンドルが回らなくなりました。少し熱を加えたら直るかも知れないと言いながら、ライターで箱の底を熱してみます。すると突然、「ボーン」という音と共に、炎が箱から吹き出します。

ハンドルを回して見ると、またロープが出始めます。ロープが完全に復活したら、今度は破ったお札も復活させようとハンドルを回すのですが、何も出てきません。上のふたや前面の扉を開けると、中には何も残っていません。お札のかけらもありません。どうやら、さっき箱から炎が吹き出したとき、お札も燃えてしまったようです。

観客には、この復活したロープをおみやげにあげるから、これで許して欲しいと頼みますが、大抵、拒否されます。

それなら何とかしようと、マジシャンは観客に、復活したロープの好きなところを指さしてもらいます。その部分をはさみで切って、ロープを二つに切断すると、切り口からお札が出てきます。それを抜き出し、お札の番号を読み上げてもらうと、まさに、観客から借りたお札です。

コメント

マニアであれば、観客から借りた指輪を金属の箱に入れ、ハンドルを回すと指輪が粉々になり、それがまた復活するというマジックを知っているでしょう。この「パワーボックス」で使われている箱は、指輪を粉々にする箱を一回りほど大きくしたものです。構造は違いますが、見た目はほとんど同じよう見えます。

あのネタも、確かコレクターズで販売されていたはずです。値段はこの「パワーボックス」の半分程度で、しかもマジックとしては指輪のほうが絶対ウケますから、どちらかといえば、そっちをお薦めします。

なお、上の「現象」で説明した演出は私が考案したものです。オリジナルの解説では、マジシャンと観客がお札を出し、2枚とも箱に入れるのですが、一枚は何の変化もしません。私はその部分がいやなので、観客から借りた一枚のお札だけで出来るように演出を変えました。また、これを「パスタ製造器」に見立てたのも、私が勝手にやっているだけですので、そのような説明はオリジナルにはありません。もし購入を考えているのでしたら、その辺りも注意してください。

とにかくこのネタは、無理に4万円近く出してまで買う必要もありません。客から借りたお札が消えて、どこかから出てくるというのであれば、レモンやタバコから出てきたほうが数倍ウケます。

今回、これを紹介したくなったのは、ここ数ヶ月、うちではパスタに凝っており、週のうち、2,3回はパスタを食べているからです。(笑)パスタを作る機械も買うつもりで、機械をながめているとき、偶然このマジックを思い出し、先のような演出を思いつきました。どうせまた忘れるでしょうから、今のうちに紹介しておこうと思っただけです。(笑)


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