製品情報

製品名ゾンビボール
発売元テンヨー
価 格20,000円
分 類ステージ、パーラー

Zombie Ball

1998年6月25日


最初に

「ゾンビ」(Zombie)という言葉は、オカルト映画などにもよく出てきますので、今ではよく知られているでしょう。元来は、死んだ人を生き返らせる不思議な自然力、またはゾンビでよみがえった死体のことです。

マジックで使われる「ゾンビボール」(Zombie Ball)も、魂が浮遊しているような現象なので、このような名前が付けられたのでしょう。

現象

演出によって様々な見せ方があります。
基本的な現象は、テーブルの上に直径12,3センチの金属のボールがあり、そこにスカーフのようなものを掛けます。スカーフの両端を持っていると、ボールが浮かびはじめます。スカーフの上や横から現れたり、あるときは頭より高く昇って行きます。体の周りを回転したり、突然、ボールが消えたりもします。最後はまた静かにテーブルの上にボールが戻って終わるか、完全にボールが消える場合もあります。

コメント

金属のボールが観客の目の前で浮かぶという現象は、幻想的であり、また神秘的でもあります。
このマジックのオリジナルとも言えるものは、昔から舞台で行われていた「フローティングボール」です。「フローティングボール」は、直径20〜30センチくらいの大きな金属のボールが、マジシャンの声に合わせて、上下したり、舞台の端から端まで飛び回ったりしました。見た目も派手ですが、その分、装置も大がかりなものが必要です。また、目の前で演じるのは無理で、客席とある程度の距離が必要でした。さらに、助手も必要なので、そう簡単には演じることはできません。

「ゾンビボール」は、金属のボールを浮かせるという点では「フローティングボール」と同じですが、これには数々の利点があります。

1.助手が不要。
2.照明はいくら明るくてもよい。
3.観客が目の前(1メートルくらい)にいてもよい。
4.特殊な準備は不要で、いつでもできる。

といった点でしょうか。

昨年(1997年)の暮れにテンヨーから売り出された「ゾンビボール」(20,000円)は、現在市販されているものの中ではベストだと思います。重さ、大きさ、布、ギミック、解説書のどれをとってもすばらしいものです。とりわけ、解説書はプロマジシャンのカズ・片山氏が実際に演じている手順をそのまま書いておられ、この解説書のためにだけ購入しても損はないくらいです。この手順では、最後にゾンビボールが完全に消えてしまうのですが、私はこの解説書で初めてボールの消し方を知りました。(汗)

ゾンビボールの解説書はあまりなく、昔のものでは『奇術研究42号』(力書房 1966年夏)、『The Svengali 第5号』(大阪奇術愛好会 1966年)、『ふたりでゾンビボールを』(力書房 厚川昌男著(現:推理作家の泡坂妻夫氏)1966年)、『ゾンビボール随想』(植木将一著 私家本 1975年)等がめぼしい物だと思います。
厚川さんのゾンビは、カップルで演じる珍しいものです。ボールが二人の間を飛行したりします。

また、植木さんの私家本に解説されているものも、大変、興味深い演出になっています。最初、一人の男性がテーブルの前に座り、水晶の球を置き、トランプ占いをやっています。水晶の球が金属の球に変わり、それが一旦消えて、また現れます。この辺りから普通のゾンビボールの手順になります。

最近(と言っても2年ほど前)見たゾンビボールでは、東京の「銀座小劇場」で2,3ヶ月に一度開催されているマジックショーで、女性プロマジシャンのYUKAさんの演技が印象的でした。とても落ち着いた雰囲気のある方なので、このような幻想的なマジックが栄えるのでしょう。

astro

また、テンヨーからは随分昔から発売されているもので、「アストロスフィアー」という商品名のものがあります。これもゾンビボールとほぼ同じくらいの大きさのボールが浮揚するのですが、左の写真のようなラメ入りの布の「前で」ボールが上下したり、布がまったくないところでも浮かんだりします。最後は頭上高く上がるボールを両手で受けとめて終わります。これはゾンビボールともネタが違います。

そう言えば、20数年前、現在プロマジシャンとして活躍している平田旭人氏が、学生の頃バイト先のナイトクラブで、これをよく演じていました。照明や音楽まで考慮して演じると、一種独特の幻想的なムードが漂い、なかなか洒落た雰囲気になります。(7,000円)

魔法都市の住人 マジェイア


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