On Line Puzzle
5円玉と矢
追加更新:1999/3/10
1999/2/28
写真のように、普通の5円玉の穴に、木製の矢が通っています。この矢は完全な木のかたまりです。どこにも切れ目などはありません。
矢じりの部分と羽根の部分は、5円玉の穴よりかなり大きいので、抜くこともできません。実際に手に取ってさわってみると、この木は大変硬く、曲がったりしません。
で問題ですが、このようなものをどうやって作ったのでしょう。
もう一度条件を確認しておきます。
1.5円玉はまったく普通のものです。何の加工もしてありません。
2.矢にはどこにも切れ目はありません。後から接着剤などで張り付けたりしていません。切れ目や継ぎ目のない、木のかたまりを削って矢の形にしてあるだけです。
3.定価が500円で販売されていたのですから、手の込んだことをしては採算がとれません。たとえば、「木の枝が細いうちに5円玉の穴に通しておいて、木の生長を待ち、十分太くなってから周りを削って矢を作る」というのは、手間を考えれば実用的ではありません。
4.この5円玉と矢を手に取るなり、機械にかけていくら調べても構いません。
補足1:これはパズルとして販売されていたのですが、パズルとしてはあまり優秀なものではありません。よくできたパズルは、難しく思えていたことが、解答を聞くと、実際は大変簡単な方法で解けてしまうことがわかり、そのギャップに自分自身が驚くようなものです。この「5円玉と矢」の場合、解答を聞いたとき、驚きと言うより、失望のほうが大きいでしょう。(笑)
補足2:10年ほど前、キディランドで販売されていました。最近は見かけないので、もう販売はしていなのかもしれません。
これのオリジナルはアメリカで考案されたのだろうと思います。20年ほど前に、アメリカではコーラーのビンの腹(一番膨れているあたり)に2カ所穴を空けて、そこに木製の矢が通っているものがありました。
追加更新:(1999/3/1)
今日、パズルの本を読んでいたら、パズル作家であり、アマチュア・マジシャンとしても高名なマーチン・ガードナーについての記述で興味深いものがありました。
ガードナーは、彼を訪問した人にしばしば見せるマジックがあります。マジックをやっている人なら誰でも知っている簡単なトリックです。左の写真のような、薄いゴムシートの上にコインを置くと、コインがゴムシートを貫通するマジックがありますね。初心者用のセットにも入っている、大変簡単なマジックです。マニアでこれを自分のレパートリーにしている人はいないと思いますが、見せ方次第では使えるかも知れません。
ゴムシートを使うマジックを全然知らない方もいるかも知れませんので簡単に現象を説明してきます。
透明なガラスのコップを用意します。その口の部分に、10センチ角程度の薄いゴムシートをかぶせ、周りを輪ゴムで止めて、ゴムシートが落ちないようにします。ゴムシートの色は黒です。このシートの上に2枚のコインを乗せてます。観客に1枚のコインを指定してもらい、人差し指でコインを上から数回なでていると、コインがゴムシートに溶けるように、貫通して行き、グラスの中に落ちます。
観客自身にグラスからゴムシートを取り除いてもらい、中からコインを取り出してもらいます。ゴムシートをいくら調べてもらっても、どこにも穴など開いていません。
ざっと、以上のような現象です。これは子供用のマジックセットにも入っているほど簡単なマジックですが、ビジュアルで、決してバカにするほどつまらないものでもありません。テンヨーでも『コインマジック』という名前で、400円で販売されています。
「5円玉と矢」を見せて、観客が頭をひねっているとき、続いてこのゴムシートのマジックを見せます。「ワープして貫通したのです。5円玉と矢も同じです」とでも言ってみてください。「そんな馬鹿な」とは思っても、今見たコインの貫通が大変ビジュアルなので、ひょっとしたらそんなこともあるのかな……、と思ってくれるかも知れません。
マーチン・ガードナーは、ロイ・ウォルトンの「カード・ワープ」も、「ゴムシートの貫通」の後に見せるそうです。この3つをつなげれば、確かに「空間のねじれ」を視覚的に見せることができそうです。