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ファン・カード

BACCHUS


バッカス

2002/6/1


ファン・カード(Fan Card)、海外ではファン・デック(Fan Deck)と呼ばれるトランプがあります。"Fan"というのは「扇」の意味です。一組のトランプのコーナーを持って扇形に開くと、花が咲いたように大変あざやかに広がります。支点とする位置を順に変えると、そのたびに色や模様も変わります。

ファン1

トランプ自体には特殊な仕掛けはありませんが、ジンクステアレイトと呼ばれる粉末か、ロウが塗ってあり、表面の摩擦係数が一定になるように加工されています。特別滑りがよいというわけではなく、一定であることが大切です。

ファン・カードはマジックではないため、意外性という面はありません。そのせいか、最近ではこれだけを独立させて見せる人はほとんど見かけません。しかしカード・マニュピュレーションの中に演技のアクセントとして、一部取り入れているマジシャンは少なくありません。

テレビなどでプロマジシャンがあざやかにカードを広げているのを見ると、長い年月、時間を掛けて練習してはじめてできるようになる技だと思いますが、実際には意外なくらい簡単にできます。特に両手で広げるもっとも一般的なファン、通称「両手ファン」と呼ばれるものは、ものの5分も練習すればできるため、本人が一番驚いてしまうかもしれません。

ファンには片手で行うものや、「分裂ファン」、「ジャイアント・ファン」などいろいろテクニックもあるため、すべてが簡単というわけではありません。このようなフラリッシュは目の前にいる観客に見せると、高等技法と思ってくれることも多く、演者の優越感をくすぐってくれます。

ジャイアント・ファン

1960年代後半から80年代くらいまで、デパートのマジックコーナーには「日本かるた製造合資会社」が出していたウインド・ミル(WiIND MILL)というブランドのファンカードが一般的でした。そのなかでも、「バッカス」"BACCHUS"というデザインのものがもっとも広く普及していました。

バッカスにはカクテルグラスが10数個描かれています。このうち金色のグラスがが中心のものと、銀色のものの2種類があります。値段は忘れましたが、普通のトランプとたいして変わらなかったと思います。

WIND MILLからは他にも数種類、ファンカードが発売されていたのですが、どういうわけか私は他のデザインのものにはあまり関心がなく、グラスの描かれたバッカスだけがお気に入りでした。長年愛用していたのに、いつの頃からか見あたらなくなっていました。古くなったので、捨ててしまったのかも知れません。新しく買い直そうとマジックショップに行っても、ここ数年、ほとんどみかけなくなっていました。2年ほど前、インターネットの某オークションでは数万円で取引されているという話もありましたが真偽のほどは不明です。

ところが今から1年ほど前、大阪の東急ハンズに行ったとき、このバッカスを偶然見つけました。なんと700円で販売されていたのです。在庫として残っていたのかも知れません。私も数個買っておいたのですが、知人にあげているうちに、現在、1個だけになってしまいました。まだハンズには残っているかと思い、先日ひさしぶりに行ってみましたが、もうすでに売り切れたようで、ひとつも残っていませんでした。

ファンカード自体は今でもテンヨーから発売されています。デザインは裏を4分割して、赤、青、黄、緑になっています。色の変化を楽しむだけならこれで問題はありませんが、シンプルすぎて、いまひとつもの足りないのです。WIND MILLを出していた会社は京都にあり、昔は任天堂と同レベルの会社であったはずなのですが、現在はすでに廃業しています。どこかからバッカスを復刻してくれないものでしょうか。


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