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FANTASTIC

FANTASTIC

1998/6/17


最初に

20数年前、テンヨーからごく短期間発売された幻のマジックです。 原案者は岐阜のアマチュアマジシャン、沢浩氏です。

現象

両面に、灯のついていないキャンドルが3本、キャンドルスタンドに立っている絵が描いてあるマッチ箱があります。

マッチ箱を開けて、中からマッチ棒を一本取り出します。マッチに火をつけてから、マッチ箱を左手の中に握ります。マッチの炎を手の周りで回してから手を開けると、3本のキャンドルに黄色い炎が灯っています。またマッチ箱を握ってから、手の中を通すと、今度は炎の色が青になっています。これがさらに赤に変わり、最後はそれぞれの炎が、赤、青、黄色の三色になっています。勿論、マッチ箱の両面とも同じように変化しています。このマッチ箱を観客に渡して調べてもらっても、普通のマッチ箱です。

コメント

沢浩氏が一躍有名になったのは、1969年にヴァーノンが初来日したときからです。

はじめて沢氏のマジックに接したヴァーノンの驚きが尋常ではなかったため、口コミや専門誌などでも、沢氏の名前はいっぺんに世界中に知れ渡りました。

それまでクロースアップマジックというと、カードやコインがほとんどであったとき、沢氏は、様々な素材にチャレンジしていました。その究極のものが「真珠物語」と名付けられたマジックです。色々な貝や真珠を使った、ポエティックで幻想的なトリックです。素材の特性を、方法、現象の両面にわたって、これほどうまく活かしたマジックもありません。

今回紹介しました「ファンタスティック」も、沢氏の詩的な面がよく出た傑作です。テクニックは少し必要ですが、決してそれほど難しいマジックではありません。それなのに、半年から一年くらいで製造中止になったようです。即席マジックとしても超1級なのに大変残念です。マジックを始めて10年くらいの人ですと、見たこともないでしょう。知り合いのマジシャンも、これが製造中止になりそうだとわかったとき、何個かまとめて買っていました。また、今でも、これをマニアの前では絶対に見せないというマジシャンもいます。

私の持っているのも、相当古くなりましたから、テンヨーがまた復活させてくれることを願っています。


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