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フーディーニ切手

フーディーニ切手

2002/10/26


今年(2002年)の7月、アメリカのプロマジシャン、ハリー・フーディーニ(Harry Houdini,1874-1926)の肖像画が描かれた記念切手が米国郵政省から発行されました。

フーディーニが亡くなってすでに76年が過ぎていますので、彼の舞台を生で見たという人はごく限られているはずです。しかしアメリカ人にアンケートを採り、知っているマジシャンの名前を一人あげてもらえば、今でもフーディーニの名前がトップになるくらいよく知られています。

フーディーニ(本名エーリッヒ・ワイス)は1874年、ハンガリーのブダペスト生まれです。9歳のとき一家がアメリカのミルウォーキーに移住し、14歳のとき再び一家がニューヨークに移った頃から奇術の魅力にとりつかれました。17歳で早くもプロマジシャンとしてスタートを切っています。

デビュー当時は一般的なマジックショーをやっていましたが、1896年頃から本格的に「脱出術」を始め、人気を博すようになりました。最初の頃は手錠抜けや、拘束衣からの脱出程度のことでしたが、その後、刑務所からの脱出、体を鎖で縛られた状態で真冬の川に放り込まれ、そこから鎖をほどいてあがってくるなど、しだいに大がかりなものになっていきました。このようなことは話題作りのための策略としてやっていたのです。マジックの腕だけではなく、自分自身をマスコミに売り込む方法や、世間に注目させるプロモーションの面でも卓越した才能を持っていました。

鎖で縛られたフーディーニ

後年、マジシャンというよりエスケープ・アーティスト、つまり「脱出術」の専門家としてよく知られるようになりました。

ざっとこのような経歴をもったフーディーニの切手が発行されました。1枚37セントです。今年の7月にはアメリカに本部のある世界的なマジック団体、SAM(Society of American Magicians) の大会がニューヨークで開催されました。フーディーニは1917年から亡くなった1926年10月31日、ハロウィーンの日までSAMの会長を務めていましたので、切手の発行日もSAMのイベントに合わせたようです。

私自身はこの切手をIBM大阪リングの世話役をしていただいている赤松洋一氏から頂戴しました。赤松氏は切手収集の趣味もあったようです。『郵趣』という専門誌に載っている記事を見せて頂いたところ、この切手にはおもしろい仕掛けがあることがわかりました。数年前からアメリカの切手には、偽造を見破るための特殊な印刷が施されているものがあるそうです。専用デコーダー(解読器)でこの切手を見ると、フーディーニの体に太い鎖が巻き付けられているのがわかります。肉眼ではまったく見えません。

お札などには昔から偽札防止のための仕掛けがいろいろと施されています。しかし1枚37セント程度の切手にこのような仕掛けが組み込まれているとは思いもしませんでした。これは近年、プリンターやスキャナーの精度が上がり、本物と区別できないくらいよくできたコピーが簡単に作れるようになってきたためかもしれません。

いずれにしても、隠し図案まで含めてひとつのデザインになっているところは遊び心もあり、何ともしゃれています。


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