On Line Puzzle

 

宝石の秘密

1997/11/14


昔、アブダラという名の大富豪がいました。彼にはムスタファ、アリヨーソフ、マーモードという3人の息子がいました。 アブダラが亡くなったとき遺言状を開くと、そこには次のようなメッセージが残されていました。

私は3人の息子に、世にもまれなる貴重な宝石を残す。これらの宝石を次のように相続する。 宝石の半分は長男のムスタファに、三分の一は次男のアリヨーソフに、九分の一は末っ子のマーモードに。ただし、いかなる場合にもその宝石を小さく切ったり、壊したりしてはならない。もし1年以内に書き記したように分けることができないとき、これらの宝石はすべてうち砕き、砂漠にまき散らすこと。

宝石箱を開けてみると、まぶゆいばかりに美しい巨大な宝石が現れました。

宝石

しかし数えてみると、宝石は17個しかありません。いくら数えても17個しかないのです。 3人は困りました。17個の宝石を1/2、1/3、1/9にわけることなど不可能です。まして小さく切り刻むことも禁じられていますから、3人は途方に暮れてしまいました。

あなたならどうします?何かよい方法を思いつくでしょうか。ぜひ、しばらく考えてみてください。

3人は何度か言い争いをしましたが、ある人のことを思い出しました。この人は山の中の洞窟に、一人で住んでいます。みすぼらしい格好をしているのに、父が心から敬い、何かにつけて相談にのってもらっていた人です。 世間から聖人とも敬われています。この人なら何かよい知恵を与えてくれるのではないかと思い、3人は遺言状と17個の宝石を持ってこの人のもとへ行きました。

事情を説明すると、聖人は3人に向かって言いました。

息子達よ、よく聞きなさい。この世で一番貴重な宝石は何かと言えば、ダイヤモンドでもルビーでもエメラルドでもない。そのようなものはただの石にすぎない。あなた方の父は、あなた方を試しておられる。もし息子達がそのようなくだらないもののために仲たがいをしたり、争ったりする愚か者であるのなら、そのような者たちは自分の息子ではない。そして早晩、他のことで争うことになると知っていた。それでそのような問を出したのだ。

あなた方の父のことは私も昔からよく知っている。父上が亡くなる少し前、私のところへ来た。そして、もし息子達が、私のところへたずねて来たら、そのときは相談に乗ってやって欲しいと言い残していた。その約束を果たすために、私はあなた方に協力しよう。

あなたたちに、私からひとつ贈り物をしよう。

Peace & Love

私が今、首にかけているこのペンダントには、"Peace and Love"と刻まれている。

これをそこにある17個の宝石につけ加える。そうすれば宝石は18個になる。ムスターファは半分である9個の宝石を、アリヨーソフは三分の一である6個を、マーモードは九分の一である2個を取ればよい。9と6と2をたせば17になる。最後に残った一つの宝石"Peace and Love"と刻まれているこのペンダントは私の大事なお守りだから、これは私の首へ戻させてもらう。よいか覚えておきなさい。いかなる困難があろとうも、「愛」があるのなら、解決しないことなどこの世にはないのだ。

ということでした。

【最後に】

この話の原形は昔からある数学パズルです。それにジェラルド・コスキー(Gerald Kosky 1907-1987年)というアメリカ人のセミプロ・マジシャンが興味深いストーリーをつけて、よく演じていました。彼の本職は宝石を扱うセールスマンです。商売をしながら、自分の宝石を使って、この話をしていたのでしょうか。(笑)

これは、1975年に出版された、"THE MAGIC OF GERALD KOSKY"に、"Sholim-Ali-Kim"と題して載っていたものを、私が一部脚色しました。


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