something interesting

1998/5/24


ジョニー君

"Watashi wa JOHNNY desu!"

Johnny


大阪や東京の路上で街頭販売しているネタです。

★現象

紙で出来た、高さ20センチ程度の人形が命令に合わせて動いているのを見たことがありませんか?「立て」と言えば立ち上がり、「寝ろ」と言えば道ばたに寝てくれます。「ジャンプ」と言えば、2、30センチ飛び上がります。何の仕掛けもないような紙の人形なのに、なぜ命令どおりに反応するのか不思議です。

★コメント

この人形は外国から入ってきたものだと思います。日本で見かけるようになる数年前から、海外によく行っている知人がどこかの国で見たと言っていました。ルーツは全然別でしょうが、これのオリジナルとも言えるマジックは昔から日本にもありました。一般に「ヒョコの芸」と呼ばれているものです。物が「ヒョコヒョコ」と動くという形容から来た名前のようです。

私は直接見たことはありませんが昭和30年頃まで「ヒョコの芸」の名人として、三井晃天坊(みつい こうてんぼう)という人が活躍していました。扱うものは人形ではなく、紙玉や箸、タバコ等です。その動きは「ジョニー君」などとは比較にならないくらい複雑で、不思議であったそうです。

例えば紙玉を丸めてテーブルの上に置くと、それが勝手に動いたり、お椀に入れてふたをしてもふたをはねのけて飛び出してきます。

また、割り箸を2本置くと手も触れないのに箸が立ち上がり、踊り出したりしました。当時から縁日などで実演して見せて、解説書を売っていたのだと思います。また晃天坊は寄席の舞台などにも出演して見せていたようです。

晃天坊が亡くなってからは後を継ぐものは誰もおらず、この芸そのものが消えてしまいました。タネの基本的な原理はわかっているのですが、単純なネタであるだけに、あそこまで複雑な動きをさせるためには大変な練習と、いくつかの秘密があったのでしょう。正式に習った人もいないようなのでその辺りのことはすべてわからないままになっています。

現在販売されている「ジョニー君」は「ヒョコ」の最も原始的なものです。それでもいつも人が集まっていますから、マジシャンが思っている以上に大変不思議に見えるようです。

マニアは今さらこんなものを買うまでもなく、もっとよくできたギミックを持っているので誰も買わないでしょう。私も今までいつも素通りしていました。しかしどのようなギミックと解説書が付いているのか知りたくなったので、数日前、購入しました。

開封してみると、添付のネタは実演で使っているものとは少し違うようです。解説書にも書いてありましたが、少し加工する必要があります。そのままではタネが見えやすいのです。マジックショップなどで売られているこのタイプのネタのほうが何倍も優秀です。 まあ価格が500円ですから、タネを知るだけの値段だと思って買えばっても安いものでしょう。

普段は1セット500円ですが、正月などで人通りが多いときは1,000円で販売されているのを見かけたこともあります。しかし、1,000円だとほとんど誰も買っていません。先日私が500円で買ったら、立て続けに7、8名の人が列をつくっていましたから、タネを知りたいのが目的なら500円くらいが限度なのかも知れません。


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