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念写

外国シャオ(Xiao)

2000/6/8


★最初に

「念写」と呼ばれる現象があります。人が心で強く思ったものが、カメラのフィルムに写るというものです。その信憑性はさておき、これはマジックに使えます。

普通のカメラでも「念写」の実験はできますが、現像、焼き付けなどの手間を考えれば、実際にやるのはちょっと面倒です。しかし、インスタントカメラを使えば、撮ったものがその場で、数分後には見られます。

インスタントカメラが出回るようになるとすぐに、メンタルマジックの分野では「念写」がマジックに取り入れられました。インスタントカメラの歴史と同じくらいの歴史があります。私が知っているだけでも、30年くらい前にはすでにあり、マジックショップでは現在も販売されています。

しかしこれを行うには一般的なインスタントカメラを改造するか、これができる機能を持ったものを購入する必要がありました。それは今でも5、6万円します。プロのメンタリストであれば、これくらいの投資は安いものですが、アマチュアがたまに使うためだけに、そのようなカメラを買うのはちょっと躊躇するでしょう。

しかし、つい先日、静岡のエスパルスドリームプラザに行った折、おもしろいマジックを教えていただきました。そのことは後で触れるとして、先に現象を紹介します。 (関連記事:魔法都市日記(4))

★現象

まず最初に、昔から行われている一般的なやり方を説明します。

観客に一枚トランプを取ってもらい、覚えてもらいます。しっかり覚えてもらったら、そのカードをデックに戻します。

その人の顔をインスタントカメラで写し、フィルムを引っ張り出すと、今撮ったばかりの写真が1、2分で現れてきます。よく見ると、その人の額のあたりに一枚のトランプが現れています。それが今、観客が覚えたカードです。

★コメント

ざっと今のようなことが昔からある「念写」のマジックです。

これでもよいのですが、先日、浜松で「プーこどもクリニック」を開業しておられる池田さんとお話をしているとき、もう少しうまいやりかたを教えていただきました。

念写

上の写真がそのときのものです。Sさんの額に、カードが出現しています。

まず、このカメラについて説明しておきます。これはポラロイド社が出している「外国シャオ(Xiao)」という名前がついたものです。「外国」のついていない「シャオ(Xiao)」もあります。値段は「外国シャオ」のほうが少し高いのですが、現在、「外国シャオ」が主流になっています。念写につかうのであれば、どちらの「シャオ」でもできます。(2000年6月8日現在)

ポラロイドのカメラとしてはおそらくもっとも安いものでしょう。コンビニなどにも置いてあります。値段は、メーカーが付けている希望価格としてはカメラ本体が2,750円、フィルムが12枚撮りで1,350円のはずです。近所のローソンにもありましたので値段を調べてみるとカメラ本体が2,600円程度です。しかし、すぐ近所にある別のコンビニ、ファミリーマートでは1,980円で販売されていました。フィルムも同様に差がありました。定価で買ったところで、カメラとフィルムあわせて4,100円です。これは今までのことを思えば、タダみたいなものです。タダはおおげさにしても、1/10以下の出費でできるのですから、メンタルマジックが好きな人であれば見逃す手はないでしょう。

ただ、この種のカメラはいつまで販売されるかわかりません。突然消えたり、してくれなくてもよい機能アップなどをやられると、念写ができなくなることもあります。普通のカメラは、一度撮影したフィルムの上に、誤って別の映像が映らないように、フィルムを巻き上げないとシャッターが切れないようになっています。二重露光防止機能です。ところがこの「外国シャオ」は安いためなのか、そのような機能がついていません。これが幸いして、「念写」ができます。

ポラロイド社のホームページがあり、現在のところ、この「外国シャオ」ついても情報が載っていますから、すぐに品切れになることはないでしょうが、突然製造中止なったり、マジシャンにとっては余計な機能アップがされたりしないとも限りませんので、今のうちに買っておくことをお薦めします。フィルムも2、3セットは買っておいたほうがよいでしょう。

★重要なポイント

池田さんから教えていただいた演技上のポイントがあります。昨日それを伺い、やっと自信をもってできるようになりました。

先ほどのSさんの額にカードが写っている写真を撮ったときのことです。あれは清水のエスパルスドリームプラザにある、マジックウエーブというカフェで実演していただいたのですが、雑談をしているとき、池田さんがかばんからカメラを出してきて、「記念に一枚撮らせてください」と言いながら、Sさんの写真を撮ったのです。本当に何気なく、記念写真を一枚撮るような雰囲気でした。

1枚撮って、フィルムを引っ張り出し、「写真が出てくるまで2、3分かかりますから、マジックでも一つお見せしましょう」と言いながら、抜き出したフィルムは伏せてテーブルの上に置いておきます。

その後、取ってもらったカードを当てるとき、「先ほど撮った写真に今のカードが写っていたら驚きませんか?」とたずねてみます。さらに「何のカードでした?」とたずねてから、観客に写真を表向きにしてもらうと、そこに自分の顔と先ほどのカードが写っているので大変驚きます。

このマジックのやり方は、解説するまでもなく、マニアであればわかると思いますが、一部付け加えると、写真を撮るとき、女性に「ピースサインをしてください」と頼んでおけば、フォースするカードが「2」であれば、出来上がった写真の下に指を2本突き出し、「カードは2です」と指さしているような写真ができます。もし本人が気づけば一層うけるでしょう。気づかなければそれは無視してもよいでしょう。

重要な点は、最初写真を撮るとき、マジックとは関係なく、ごく自然に記念写真を撮るような雰囲気が出せるかどうかです。そのためには、マジックをまだ見せていない段階で撮影をしてしまうことです。

このマジックを実際やってみるとわかりますが、フィルムを抜いてから画像が出てくるまで2、3分かかります。これはじっと待っていると長く感じる時間です。最初に撮影しておけば、その時間が大幅に短縮でき、観客のカードを戻したり、シャッフルしている間に、写真の画像は現れています。これを知らないで、カードを取ってもらってから撮影すると、大変時間がかかり、間延びしてしまいます。

★おまけの話

今から40年くらい前、ソ連の魔術団か、インドのP.C.ソルカがやっていた魔術団であったか忘れましたが、客席に座っている人をカメラで撮り、その場でフィルムを取り出すと、ちゃんとプリントされた写真が出てくる「マジック」をやっていました。

これはまだインスタントカメラが世の中になかった頃の話ですから、このようなものもマジックになりました。実際は助手がこっそり客席を撮影して、舞台裏で現像、焼き付け、引き伸ばしまでやって、完成した写真をカメラの中に仕込んでおき、それを引っ張り出すと、今撮ったばかりの写真がプリントされて出てきたように見えました。これですと、時間も30分から1時間くらい前に撮ったものでも大丈夫です。しかし、あまり時間に差があると、さっきまで隣に座っていた人と今隣に座っている人が違うこともあり、そのようなことからタネがばれることもあったようです。

これは、インスタントカメラが世に広く知られるようになってからは、マジックとしては消えてしまいました。


最後にもう一度、このような貴重な情報を掲載することを快く許可してくださった池田さんにあらためてあつくお礼申し上げます。

追加:どうしてもやり方がわからない方には教えます。メールで申し込んでください。そのとき、メールのタイトルは「シャオ解説」 2.あなたの氏名。 3.簡単な自己紹介を添えてください。自己紹介はこれまで「オンラインマジック教室」ですでにいただいている方は省略していただいてかまいません。


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