フォノンメーザー (Phonon M.A.S.E.R) |
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一般的には「音波砲」または「超音波砲」。Giga Hertz 帯というきわめて短い波長の音波を発振することで、対象の分子を振動させる、つまり加熱する装置、またはその技術のこと。 フォノンというのは「音子」とも呼ばれ、「量子化された音」を指す。フォノンという具体的な粒子があるわけではなく、振動を「粒子として考える仮想粒子として計算するとモデル化しやすいのである。物質を伝播する振動を一般に「音」と呼ぶが、振動周波数を高く、波長を短くすると媒質の振動がとびとびの値をとる、いわゆる「量子化された状態」になる。フォノンメーザーとはこの「量子化された音」を「誘導放出による振動増幅 (Amplification by Stimulated Emission)」技術を使用して発振した物である。ちなみに、波の伝播に於いて振動を媒介する物質を「媒質」と呼ぶ。様々な物が媒質になり得るが、便宜的に媒質が光子の振動は「光、または電磁波」、重力子の場合は「重力波」と考える事が出来る。電磁波・重力波の媒質は「空間その物」だと考えられている。 フォノンメーザーの特徴としては、ASE を行っているため「位相のそろった (Coherent) 波」となることである。レーザー (Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation- 電磁波の誘導放出による光増幅) やメーザー(Microwave Amplification by Stimulated Emission of Radiation- 電磁波の誘導放出によるマイクロ波増幅) などで判るとおり、コヒーレントな波は回折しにくく直進性が高い。このために特定のスポットにだけ音のエネルギーを集中させることが可能になる。現代では溶接技術、特にディスポーザブルガスライターなど可燃ガスを使用するプラスティック製品の溶着・溶接に応用されている。 兵器としての応用を考えると、現実的なところでは「水中用の対艦兵装」に限られるだろう。宇宙空間では媒質となる空気が無いため音波は伝播しないし、大気中でもほぼ秒速 340m 程度と拳銃弾程度に低速な音速に制限されるため兵器としての実用レベルに達しないからである。ガンダム世界では一般に「ゾックの対空兵装」として知られているが、この速度では空中目標に命中を期待する方が無茶と言うものである。 逆に、水中においてレーザーや粒子ビームの減衰率は高いし、火砲やロケット砲では射程距離がメートル単位になってしまう。結果、有効な兵装は水を後方に噴射することで推力を得る「魚雷 (Torpedo)」になるのだが、射程距離が稼げるとは言えいかにも遅い (近年では、海水を蒸発させてその気泡の中を超高速で推進するロケット魚雷「スーパーキャビテーション魚雷」という物があり、弾頭の選択制などを考えてもフォノンメーザーの兵器化は遠のいたと言える)。フォノンメーザーであれば「水中の音速は大気中の約五倍程度」になるので、通常の魚雷に比べれば高い命中率の兵装となりうる。ただし命中率が高いとは言え、元々が融解する物なので効果を得るためには「しばらく照射する必要」があり、このあたりは使い勝手のよくないところだ。 フォノンメーザーという呼称について、違和感のある向きもあるだろう。先述の通りメーザーというのは「コヒーレントなマイクロ波」のことだからだ。ただこれは量子化された音を「フォノン」と呼ぶので、光子 (フォトン) を使ったメーザーに対して便宜的にそう呼ばれているだけのようだ。実際にも高い直進性など類似する性質を持つので「フォノンのメーザー」として取り扱うと何かと便利であるらしい。 余談ではあるがフォノンメーザーやメーザー、レーザーは「直接視認することはできない」。「音」であるフォノンメーザーはもちろんだが、メーザーは波長がマイクロ波なので「可視光域」から外れているし、一番見えそうなレーザーでも宇宙空間では特に、散乱光がないため見えない (実際の大気中では微粒子によって散乱し、レーザーの軌跡を見ることはできる。ただしこれはすでに「レーザー」としての特徴を失っており「レーザー」とは呼べないだろう) のだ。ただ、フォノンメーザーの場合は水中で気泡を発生するようである。 |