ルウム戦役

 一年戦争開戦初期、1 15 日からサイド 5 (ルウム) にて行われた一大艦隊戦。当初、ジオンの目的はコロニー落着作戦「ブリティッシュ」の失敗 (当初の目標は連邦軍本部ジャブローだったが、連邦軍の抵抗などによって大気圏突入時にアラビア半島上空でコロニーが分解、結局落着したのはオーストラリア東部、シドニー近辺であった) を挽回するためのものであったが、レビル将軍指揮する連邦艦隊の対応も早く、作戦目的を総力戦へ転換せざるを得なかった。連邦軍は、宇宙攻撃軍を主力とするジオン公国軍の 3 倍もの兵力 (おそらく算定基準は兵員、艦艇数、宇宙戦闘機数だと思われる。MS は、宇宙戦闘機としてカウントされたのだろう) を投入するも、終始 MS 部隊を擁するジオン軍に圧倒され惨敗。連邦軍首脳に己の無能の象徴として永く記憶されることになる。

 この戦いでジオンは MS ザクの改良型、ザク II を投入し連邦艦隊を翻弄する。ミノフスキー粒子が散布されレーダーなど電波兵器の使用できない戦場で、視力増強が行えない連邦軍 (この時点で、連邦軍の主力は宇宙戦闘機と宇宙戦艦だったと思われるが、連邦軍の戦闘機や戦艦に視力増強を行っている機体はなく、有効射程において大幅な格差があったと考えられる) は善戦するも敗退を余儀なくされた。連邦軍艦隊旗艦アナンケ (マゼラン級宇宙戦艦) も大破し、司令であるレビル将軍も捕虜として連行されることになる。なお、このとき将軍を捕虜としたジオンパイロットはガイア、オルテガ、マッシュの「黒い三連星」で、彼らはその名をジオン本土に広く知られることになる。またこの他にも、赤い彗星紅い稲妻白狼など、多くのパイロットがこの一方的な戦いでエースとして知られることになる。

 なお、戦闘開始直後はジオン MS の大半がコロニー移動のための作業 (住民に対する毒ガス、生物兵器攻撃や、推進ロケットの装着など) にかかりきりになっていたとして連邦軍が優勢だったとする説もあるが、この時点で連邦側の領有するコロニーはサイド 5 / 6 / 7 3 つであり、すでに宣戦が布告されていたことを考えればなにがしかの駐留部隊がいたはずである。防衛部隊との交戦があり得る以上、いきなりコロニー落着作業に取りかかるわけもなく、まずは何をおいても戦闘状態になったはずである。当然、戦端の開かれた直後から MS 隊が戦闘装備で発進していたはずなので、終始ジオン側の優位に推移したと見るのが正しい。ドズルは戦闘部隊が待ち受けている中に裸で工作部隊を送り出すほど間抜けではないだろう。

 先の視力増強 (ザク MS は、周囲の監視にカメラアイを使った機械化視力を採用していた。コンピュータ補正などを行えば、ミノフスキー粒子散布下において連邦側が採用していた直接視認に倍する有効射程を得られるだろう。また、連邦側の機体は電波信号による IFF [敵味方識別] を行っていたはずで、カメラから入力された形状データを元に敵味方識別を行っていたと考えられる MS は、実際の射撃行動へも宇宙戦闘機より早いタイミングで移行できる。さすがに赤外線の廃熱パターン分析で敵味方識別は行えないだろう) の他、ザクの優位性を列挙すれば、その形態から来る全周に渡る攻撃範囲、接近時の格闘能力 (ザクの脚部はジャンプや高々度戦闘降下が行えるほど強い。つまり、戦艦に接近して着地の要領でキック攻撃を行えば、内部の乗員に対してかなり有効な打撃を与えられるはずである) などがあげられる。反面、宇宙戦闘機と比べると腕や脚など余剰重量があまりに多いために運動性が劣っていたと考えられる (これは、後のガンダムなどを考えると連邦とジオンでさほど技術格差があったとは考えにくいためだ) が、これは比較的厚めの装甲 (左右両肩の増加装甲や、腰回りの草摺り状の装甲など) で補っていた。つまり、接近戦や、格闘戦、そして長距離射撃戦ではザクが有利だが、ちょっと距離をとった中距離戦闘では連邦側にも分がある、と言うことだ。