ニセライト・オブ・ウツノミヤ物語(The Story of "Niserite of Utsunomiya")

 〜コクサン・ギター史に燦然と輝く!?フェイク・ギターは、こうして誕生した。

第4回 涙のモズから音が出た!

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○御田さん、こんにちは。iemuraです。
> 色はカントリーを意識したのにしたい。いろいろサンプルを試してみます。
> 塗装はまだ当分先。で、塗ってしまうと塗膜が完全に固着するまで1ヵ月は
> かかる。そのあいだは弾けません。

なるほど、そういうテーマがあったわけですね。
まあ米人のカントリー系は、ホワイトが好きみたいですが(笑)。

> ギターのリペアはテマヒマかかるもんです。もうすでにのべ工作時間は
> 12時間かかってますから。
> で、どう考えても1000円のハムバッカーはチープな音でしょうから、
> また交換。半年はかかるかも……(笑)。

ベニヤ板ボディの件ですが、SUMIYA・H店の店長によれば、
ムカシはどうやってギターを作ってるのかわからなかったから、 そうするしかなかった、という側面もあったようで。
そのニセライトが、70年代初頭に店頭にあったのだとすれば、
まだそういった段階であったのかもしれませんね……?

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○どうも、御田です。

> まあ米人のカントリー系は、ホワイトが好きみたいですが(笑)。

田舎風なんだけど、どこか渋い感じにしたい。
カラーリングは、けっこう難しい。

> ベニヤ板ボディの件ですが、

ベニア板というよりは、ラワン合板といった方が正しいかも。
1.5センチくらいの板を貼りつけてある。削ると鉋屑にならなくて、粉になっちゃう(笑)。

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○どうも、御田です。

昨日は一日中作業してたので、腰が痛い。
謎モズのフレットは変な風に「削れて」ました。
HKさん、こいつを一所懸命弾いてたんだ。ちょっと涙(笑)。

で、日曜日、格闘した結果、涙のモズから音が出ました。
配線も、初期のやつだと(高円寺のショップで教えてもらった)どうも不具合が生じて。

いろいろ迷ったあげく、ついにフィルモア・モズライトをばらしてしまった。
まあ、こいつを参考にすりゃカンタンと思って。

でもね、トグルスイッチとかポット(ボリューム、トーン)が違う部品なので、
接続が見た通りにはいかなくて往生しました。

で、作業開始後5時間。

仮組みの状態ながら、アンプに接続、ジャーン……!
おそるおそるボリュームを上げていくと、あらうれしや、
電気ギターの音が出るじゃありませんか。

まだネックも完成してないし、ナットもダメ、ブリッジもガタがあって、
とてもいい音とはいえないけれど、とにかく難関の電気工事はこれでOK。
とりつけた1000円のハムバッカーは、そこそこのパワーがあるようです。

これからの課題は弦鳴りだけでなく、胴鳴りをどうさせるか……。
このモズの設計者は、なーんにも考えてないので(怒)。
まあ、モズ自体が弦鳴り型のギターだから、ストラトやテレのサウンドにはならないけど。

ブリッジもいいかげんな作りなのでアタマが痛いです。
固定式(レスポールみたいに)にすればいいんだけど、また出費が……。
各弦に接する駒の精度が悪くて、2、3、5弦がぶらぶら(笑)。
ここの解決がキモになるでしょう。

で、ギブソンのニセモノに近いサウンドの本当のニセモノのモズライトをお楽しみに。
えー、あとひと月くらいでなんとかしますよ。ではでは。

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謎モズのボディは、ラワン合板を「超・多ピース」に組み合わせた、
ほとんど寄せ木細工というべき構造になっていて、御田を驚かせた。
ただ60年代当時には、こうした木の使い方をしたギターも少なくはなかったようだ。
なお、この写真は白い塗装を剥がしたときのもの。

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謎モズについてきた金属製のナット。かなりアバウトな作りで弦が暴れ、すぐに廃棄を決定。

○文&構成:iemura

次回に続く・・・・。