<2006.04.20 K.Kotani>アニメの作り方 まず、パラパラまんがから始めよう


自主アニメオンラインマニュアル

アニメの作り方


2006年04月20日

まず、パラパラまんがから始めよう



 アニメーションの入門書には、「皆さんは昔学校で教科書やノートに「パラパラまんが」を描いて遊びませんでしたか。アニメーションの原理はそれです。」という事がよく描いてあります。
 このパラパラまんがというもの、用意するものがほとんどいらない、簡単に誰でも描けるという印象から、とかくばかにされがちですが、アニメーションの原理と基礎を学ぶ上で、非常に便利な手法です。
 まず、適当なメモ帳や不要な本などを用意して、パラパラまんがを作ってみましょう。まず、一番下(または上)の紙に適当な絵を描き、一枚上(または下)の紙に少しずつ違った絵を描いて行きます。ある程度の量が出来上がったら、ぱらぱらっと動かしてみましょう。上から下に描いた場合は、紙の弾力性を利用して紙を送る形になります。


 アニメーションが動いて見えるためには、
1.少しずつ違った絵がつぎつぎに入れ替わる
2.一枚一枚の絵は見えている間止まっている
3.絵が入れ替わる時間は短いほど良い。
 この3条件が必要です。パラパラまんがでは、条件2は「ぱらりとめくられて、次の絵が来るまで止まっている。」条件3は「紙の弾力と重力(上から送る場合)によって、一枚一枚の絵は一瞬で停止位置に送られる」事によって満たされます。

 ちなみにフィルムの映写機では一こま一こまの絵を一瞬静止させ、止まった瞬間に光を当ててスクリーンに絵を写し、光が消えている間にフィルムを1コマ送る事により上記の条件を満たしています。ただしフィルムは毎秒24コマしかなく、1コマ一回ずつの点滅だとチラチラして見づらい画像になりますので、たいていは3枚羽根のシャッターをフィルムの前で回し、1枚の絵を3回見せてから1コマ送るという形になっています。この形だと毎秒72回の点滅となり、人間の目には一定の明るさのように見えます。
 また、ビデオでは画面を上から順番に書き換えて行くことにより動画を表示しています。画面は全部で512本の走査線で作られていますが、この画面を奇数列/偶数列交互に1/30秒ごとに書き換えています。つまり1/60秒分の4枚の絵が順にオーバーラップして入れ替わっている状態です。但し、アニメーションを作る場合は、1/30秒毎に絵が入れ替わっていると理解して制作して下さい。

 パラパラまんがが普通のアニメーションと違う最大の点は、絵を送る速度が手動のため一定せず、途中でひっかかったりして止まってしまったりする点です。特に一番上の方・下の方では安定して紙を送るのが難しいため、まん中のあたりだけを使ってもいいかもしれません。

 アニメーションの基本はいくつかありますが、絵一枚ずつの変化が小さい程ゆっくりと動き、大きい程早く動く、というのは大事な点です。パラパラまんがは絵が簡単なので、このテストが簡単にできます。右から左に動く小さな点を2つ描いてみましょう。片一方はすこしずつ、もう一方はやや間を広めにして描いてみましょう。


 ぱらぱらと動かすと、間を明けた方の点が狭い方の点を追い抜いて行く様子が見えるはずです。

 もう一つ。絵を「止める」ためには、同じ絵を続けて何枚も見せなければいけません。テレビ番組で「パラパラまんが」を募集したことがあり、ある程度経験の有るアニメ−タ−の方が応募されたのだな、と思われる作品がありました。たいていのパラパラまんがはすべての絵が少しずつ違っているのですが、その作品は「じっとみつめる」というカットでは、同じ絵が何枚も描かれていました。



 この絵は、上下左右をきょろきょろする人の顔です。普通は、上を見てから下を見る時、ちょっとずつ下をむいていくのですが、「きょろきょろ」という感じをだすためには、「上」「下」「右」「左」を向いた顔を中間のポーズを入れずに何枚かずつ順に見せると言う方法も効果的です。右から入ってきてまん中で止まり、上下左右の顔を3枚ずつかいてパラパラしてみて下さい。

パラパラまんがの活用方法はまだありますが、今回はこの辺で。

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