<2002.07.04 K.Kotani>日本アニメーション学会第4回大会開催さる


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2002年07月04日

日本アニメーション学会第4回大会開催さる

 6月29・30日の両日、東京造形大学において、日本アニメーション学会主催の日本アニメーション学会第4回大会が「教育とアニメーション」をテーマとして開催された。
「初等・中等教育とアニメーション」「アニメーションの専門教育」「子供たちのアニメ・ワークショップ」「アニメーション・クリエーターの修業時代」などをテーマにしたシンポジウム・発表などが次々に行われた。
アニメーションは今年から学習指導要領に「映像メディア教育」として組み入れられ、小・中学校のカリキュラムに正式に組み込まれていく事になったのであるが、先行して美術教育の中で試行されている小・中学校での実例や、文部省の担当者による組み入れの意味などが発表された。「アニメーションを教育する」よりも「アニメーションを教育的に活用する」というニュアンスがやや強かったようであるが、子供達が動く絵・映像を作る事に非常に興味を示すということが共通していた。(しかし実例はいずれも首都圏の学校であり、各地方の状況についての説明はなかった。また、本格的に取り入れた場合の教員側の対応をどうするかについても説明はなく、質問をしようとしたが時間がなく出来なかったのは残念)
「アニメーションの専門教育」の中では、従来芸術系大学の映像関係の一つの選択科目であったり、夏期短期講習の対象であったアニメーションがある大学で来年春より一つの専門学科として独立する事になろうとしている事、現状の教育現場での状況と最近の学生の傾向などが語られた。
「子供たちのアニメ・ワークショップ」では東京の「こどもの城」におけるさまざまなアニメーションを使ったワークショップ活動の紹介がなされた。
 「アニメーション作家の修業時代」では現在一線で活躍中の作家の方々の若い頃の体験などが語られたが、質疑応答の部門では最近の若い人は確かにうまいのだが自分が何を作りたいのかわかっていないとか、いままでさんざん若い人を育てようとしてきたが育てようとして育った例がなくかえってほっておいてもどんどん出てくるとか、デッサンひとつにしても美大受験用にそれらしくうまく見せるテクニックはたくさん身につけているのだが結局自分の「目」で対象物を見れていないので一つの記号的表現の組み合わせになってしまいいざ現場で応用となるとあまりに役に立たないので、ここ10年ほど商業アニメの現場では現在の中堅クラスを脅かす若い人がほとんどでてこないとか、一方商業アニメの分野では作家的な方が多くても困るので技術者として作品に関わる人がいないと困るとかさまざな立場からの発言が相次いだ。結局4年間も大学にいてもそれだけでは仕事に使える技術は身に付かない、いろいろな大学があっても大学だけでちゃんとした職能技術が身に付くのは医学部だけ(ほんとかな)という発言もあり、「在学中にプロの現場ではこういうものをこう使う」という事をちゃんと教えてほしかった。」という事だそうである。専門学校と大学の棲み分けについては専門学校は就職に直結した職能教育、大学では期間も長い事もあり「遠回りをして」やるという事に意味があるのではという事でした。どうせなら専門学校の方も招いて話を聞くと言うこともあっていいのではないでしょうか。
 教育関係以外では「ポケモン」事件関係の発表、「名探偵コナン」をネタにした物語の構造についての発表などや、昨年に引き続いての「動き」についての心理学的研究の発表などここに書ききれない程のものがありました。
 全体的に盛り沢山の内容ではありましたが、時間的にあまりに詰め込みすぎて、質疑応答の時間がほとんどなかったのは残念。また、別会場で上映されていた特別上映インターカレッジ・アニメーションフェスティバルも発表を聞いているとほとんど見れませんでした。



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