2003.08.24 K.Kotani>
豆惑星アニメーションフェスティバル
毎月読める日本で唯一の自主アニメ情報誌
月刊近メ像インターネット
2003年8月24日
豆惑星アニメーションフェスティバル
8月9日(土)-15日まで、千里中央の千里セルシーシアターにおいて、「第一回豆惑星アニメーションフェスティバル」が行われ、若手作家の作品16本が上映されました。しかし作品リストも何も無く、作品が上映されるだけというのも少々困るのですが。
大体の作品は過去にどこかで上映されたもので、行った日(14日)にもお客さんは5-6人と少々寂しいかんじでした。小猿の写真アニメ「いいわけ」は小猿が遅刻して学校に行くとスカンクだのキリンだのゾウだのが授業を妨害して小猿が先生におこられ、最後に先生もなにものかにどこかに連れ去られてしまうというシュールな内容なのですが、状況がシュールで表現もシュールなため、なにか当たり前に見えてしまいます。小説にすると筒井康隆ふうになって面白いと思うのですが。表現になにかリアリティがあると、シュールさが際立つと思えます。特別上映の「ピチカート・リズムマシン」はなんでこの作品フィルムにしないのかと思う微妙な色遣いの作品なのですが、実は元は16ミリらしく、わざわざテレシネしたものをビデオプロジェクターで上映していました。(「特別上映」なら、フィルムで見せてくれてもいいのでは?)
観客から観た時、アート系の自主作品といわゆるプロの商業作品との決定的差異は、「プロの作品は、黙って座ってみていても観客の中に入ってくる」が「自主作品は、観客が作品の中に自力で入っていかないと分からない」という点にあるのではないでしょうか。普通の映画館でかけた場合、自主制作を見慣れた観客ばかりではありませんから、ノルシュテインやシュバンクマイエルのように圧倒的力量のある作家ならともかく、普通の作品は見せ方に一工夫必要です。作家が出てくるとか、作品毎になにか解説を入れるとか。「客が来たから成功」「観客が少ないので失敗」ではなく、作者のメッセージをいかに観客に届けえたかどうかが上映会の価値を決めると思います。
kotani@mx1.nisiq.net