<2004.05.16 K.Kotani>キリクと魔女上映&高畑監督講演


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2004年05月16日

キリクと魔女上映&高畑監督講演



   5月16日、神戸ハーバーランドの松方ホールにて、ミッシェル・オスロー監督の「キリクと魔女」上映と、日本語版制作をした高畑勲監督の講演が行われました。講演では、最近の日本アニメについて、主人公と観客が一体となるような演出パターンによって、観客が努力無しに感情移入できるパターンが一般化し、それが海外でも受け入れられている事、しかしながらあまりにも画一化したため、「キリクと魔女」のような主人公を観客が客観視するような演出の作品がない事が指摘され、そうでない作品として、この作品の日本への紹介に努力したとの事でした。日本のアニメでは主人公が無鉄砲というか大胆な行動に出ても大抵成功してしまうが、(そうしないと映画が終わってしまうので。観客も分かっているのであまり心配しない)この作品では主人公がいちいち考えつつ行動していて先が読めない展開になっているという事も話されました。日本語化については、当初字幕版も用意したが、字幕では情報量が限られているので吹き替えを製作した事、吹き替えにあたっては、原盤が西アフリカセネガルなまりのフランス語(フランス人にはちゃんと分かるそうです)で吹き込まれていて完成度が高いので、なるべく近付けるようにしたとの事でした。
 最後の質疑応答では、「今後アニメーション制作をめざしたい」という若い観客の質問に答えて、「現在はCGとか使えてリアルな表現がなんでもできるので、どらえもんまで「影」をつけるような演出になってきているが、ここまで来るとすでに「衰退期」といえるのではないか。過去の10年はがんばって流れに乗っていけばよかったが、これからは新しい方向を模索する必要があるので、かえってチャンスかもしれない。」という事を話されていました。

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