<2006.01.28 K.Kotani>NEW BOOKS ハリーハウゼン関係 2册


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2006年01月28日

NEW BOOKS ハリーハウゼン関係 2册



Ray Harryhausen: An Animated Life
Ray Harryhausen, Tony Dalton (著) 2004年Billboar Books NY刊 304ページ
AMAZON価格 5108円
序文 レイ・ブラッドベリ

The Art of Ray Harryhausen
Peter Jackson (はしがき), Ray Harryhausen , Tony Dalton (著)2005年Aurum London 刊
AMAZON価格 4624円

 今年のアニメ・フレンズの賀状で面白かったのは、「アニメがCGになって面白くなくなった」と書かれていたのが2-3通あった。正月興行として昨年末から公開された3時間半のCG特撮大作「キング・コング」(ピーター・ジャクスン監督、2005年作品)だが、東京では「男たちの大和」に食われて早くに終了したそうだ。関西では公開中。
 振り返ってみるとウィルス・オブライエンのコマ撮り特撮映画「キング・コング」(1933)が公開されてから72年の歳月が過ぎた。昨今の特撮作品はオールCGで制作されている。アニメも同様だが、昨年、一コマ・サポーター運動で制作資金を募ってやっと完成した川本喜八郎氏の長篇人形アニメ「死者の書」(2月11日-4月7日まで東京岩波ホールで公開)は従来の手間のかかる一コマ撮りで制作された。しかし、最終編集段階で一部にCGが使用されている。
 33年の「キング・コング」に魅了された若き青年が人形アニメに挑戦。オブライエンに教えを乞い、成功したのが英国生まれのレイ・ハリーハウゼンであった。ハリーハウゼンは「シンドバッド七回目の航海」(1958)を皮切りに、「クラッシュ・オブ・タイタン」(81)でリタイアするまでコマ撮りのテクニックで特撮大作を多く製作。なかでも「アルゴ探検隊の冒険」(63)では、骸骨軍団と剣士たちのチャンバラ場面は見物であった。現在ならCGでいとも簡単に出きるだろうが、全てコマ撮りで制作された。
 2004年に出版された「Ray Harryhausen: An Animated Life」は彼の特撮映画の業績をアマチュア時代から豊富な図版を使ってビジュアルに編集された資料的な本である。序文を米SF作家ケイ・ブラッドベリが書いているが、これは彼の原作「霧笛」をハリーハウゼンがコマ撮り特撮で「原子怪獣現わる」(53)として映画化したのが機縁であろう。
 昨年末、04年に引き続き再度はハリーハウゼンの本が出版された。「The Art of Ray Harryhausen」で本のサイズも前作と同じ。著者も前作と同じ。続編のような本だが、「Art」と名付けられているだけに、ハリーハウゼンが映画化する際に描いた絵コンテやスケッチが豊富で、彼の画家としての才能も発揮されていて見事だ。映画の作品スチルにしても前の本と同じスチルは一点も見当たらない良心的な編集である。
 一コマ撮りの特撮映画がハリーハウゼンで終わってしまった感があるが、アナログ人間の私にとって一抹の寂しさを感じるのだ。この本の序文は新作「キング・コング」の監督ピーター・ジャクスンが書いている。二冊のハリー・ハウゼンの本は特撮ファンでなくても楽しめるであろう。
(アニメーション研究家 渡辺 泰さん)
 


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