<2006.02.05 K.Kotani>NEW BOOKS 「コマ」から「フィルム」へ


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2006年02月05日

NEW BOOKS 「コマ」から「フィルム」へ



 「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画 秋田孝宏 著  NTT出版発行 税別2400円

 マンガとマンガ映画の関係をアメリカのコミック・ストリップから、アニメーション初期の状況、人気漫画家がアニメーション作家を兼ねていた時期、そして日本におけるマンガとTVマンガの関係等を考察した力作。「日本アニメのスタート」の項目では、中々活き活きと各作家が紹介され、当時の製作環境が目に浮かぶように描写されている。
 後半の日本のマンガ表現の特色と、日本独自の技法、いろいろな作品を例に取り上げての解説は「この部分は何を意図して表現されたか」という解説が的確で、作品製作にも役立ちそう。ただし、著者の得手はアニメーションでなくマンガの方のようで、アニメーションの演出技法についての記述は少なく、マンガ版ドカベンとアニメ版ドカベンを比較した部分で、ファンの間では原作のマンガをそのままアニメ化しただけの「凡作」と見られているアニメ版ドカベンが、原作のコマ割りをそのままカット化して成功した作品の例としてとりあげられたりしている。たとえば、名作として知られる出崎版「あしたのジョー」「エースをねらえ!」と原作との比較などあればもっと面白い展開があったかもしれない。一読の値打有る一冊です。


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