<2006.05.20 K.Kotani>NEW BOOKS ウォレスとグルミットの美術


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2006年05月20日

NEW BOOKS ウォレスとグルミットの美術



"THE Art of Wallace & Gromit THE CURSE OF THE WERE-RABBIT" Andy Lane & Paul Simpson著2005年 英TitanBooks刊 160ページ ソフトカバー 紀伊国屋洋書扱い\2680。
 06年3月、「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」(第28回アカデミー長篇アニメ賞受賞)の邦題で日本公開されたばかり。ウォレスとグルミットコンビの初長篇化で期待作であった。
 前半、丹精こめた畑の野菜を食い荒らす野兎たちをウォレス発明の鼡捕りならぬ兎捕り機械で兎たちを巨大掃除機で片っ端から吸引してしまうが、このシークエンスはCGを使用したとか。しかし兎の群れは60体制作してアニメートしたそうだ。後半、巨大野菜の品評会場に設営されたミニ遊園地内の遊覧飛行機で展開するグルミットと迷ハンターのクォーターメインの猟犬フィリップスのスリリングな追っかけや、巨大化した兎がキングコングのパロディを演ずる場面など見所多かったが、私は「ウォレスとグルミット」はやはり中編の方が好きだ。
 映画公開のタイミングに合わせ出版されたこの本の内容は「野菜畑〜」のメイキング本である。映画を見てからこの本を読めば、人形アニメ制作に如何に多くの労力がついやされているか実感できる。「野菜畑〜」でウォレスの相手となるレディ・トッティントンのコッペパンみたいな髪型がユーモラスだったが、中身は空洞とか。
 蛇足だが、ア賞長篇アニメ部門候補に選ばれた作品は「野菜畑〜」のほか宮崎駿の「ハウルの動く城」「ティム・バートンのコープス・プライド」の3作。某週刊誌のア賞予想にアニメ3本は一部にCGを使用したものの本質的には手作りアニメで、その点が評価されたのだろうと書かれ、3DCG全盛時代に従来の手間ひまがかかる手作りアニメの制作を続ける制作者達に拍手を送りたい。
(アニメ研究家 渡辺泰さん)
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