<2007.04.12 K.Kotani>NEW BOOKS アニメ作家としての手塚治虫


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2007年4月12日

NEW BOOKS アニメ作家としての手塚治虫





 「アニメ作家としての手塚治虫 その軌跡と本質」津堅信之 NTT出版 2400円 まさに労作。アニメーション作家としての手塚治虫を、その発言、作品、評論などを徹底的に読み込んで作られた力作。複数の視点からの見方をクロスさせて本質を浮かび上がらせて行く方法はノンフィクションの王道。よくぞここまで集めたものと感嘆する。手塚治虫が「バンビ」を見た回数が80回から130回まで発言の都度ばらばらだったり、「手塚さんの絵コンテは読むと面白いが、アニメにはならない」というスタッフの発言など(そういえば、「火の鳥2772」で、「ここは手塚さんが絵コンテを切っているのだな」と分かるシーンがあった。)細かいエピソードも興味深い。手塚さんの死後手塚アニメを徹底批判した宮崎駿に対し、「手塚治虫がアニメーションの商業化の道筋をつけなければ宮崎駿の活躍はなかったはずだ」と鋭く切り込む。今後議論もあろうが、アニメーション研究家としての津堅信之氏の仕事として、過去最高の出来と評価して良いと思う。  

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