<2007.05.21 K.Kotani>デジカメ C-2100 UZ レポート


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2007年5月21日

デジカメ C-2100 UZ レポート



 アニメ制作にデジカメを使用する事は最近普通になってきた。私(K.Kotani)もビデオキャプチャーによる取り込みからスキャナーによる取り込みをへて、最新作ではデジカメによる取り込みを採用した。
 デジカメによる取り込みのメリットは、ビデオキャプチャーによる取り込みよりもかなり高画質で大型サイズの取り込みができる、という点である。特に画面に寄り、引き、上下左右への移動を伴う場合は、標準サイズの(640×480ドット)しか取り込めないビデオキャプチャに対して倍以上のサイズで取り込めるデジカメは圧倒的優位となる。
 スキャナーに対しては、取り込みスピードの早さで圧倒的に優れている。スキャナは平面の素材を取り込む場合は非常に安定した画質での取り込みが出来るが、速度が遅く、数百枚の動画を取り込むアニメーションでは非常にいらいらする。高速取り込みのできる業務用スキャナーならスピードは問題ないが、ハード価格がばかにならない。また、人形アニメなどそもそもスキャナーで取り込みのできない素材もある。
 デジカメで取り込んだ場合、どうしても周辺の明るさがやや暗くなるが、フィルムで撮影する場合にも同じ事が言える為、実用的には問題ないと言えよう。
 さて、アニメ撮影用デジカメについて、必要機能を一つ一つチェックしながら、最新作の撮影に使用したC-2100 UZというデジカメを例にとって説明を進める。
 まず、画質の点である。標準サイズの640×480ドットの画像を取り込むためにはおおむね40万画素のCCDが必要とされる。逆に言うとビデオ用のCCDは40万画素以上あってもあまり意味はなく、最上級機でも画素数は40万画素だった。このC-2100 UZは211万画素あり、まず余裕のあるスペックと言える。もちろん多ければ多いほど高い画質がえられやすくなる。「ニャッキ」の撮影などで使われていたオリンパスE-20というカメラは600万画素だった。
 次に、ある程度のズームが出来るという点である。昔の撮影ではズームイン・ズームアウトの場合は本当にカメラでやっていたが、最近は取り込んでからパソコンの上で前進・後退させるのであまりズームは要らない。しかし、取り込む際にフレーム合わせをするのにズームは必要である。カメラを上下させるとピントがずれるし、ピントを再調整するとまたフレームが微妙にずれる。3倍程度のズームがあれば良いと思う。C-2100 UZはウルトラズームという名前のついている通り、10倍ズームなので問題はないが、ズームがパワーズームしか出来ない。アニメの撮影の操作性から言うと、昔のMF一眼レフカメラ用のズームレンズの様に、リングを手で回してズームする方式が使いやすい。
 次に、アニメの撮影は通常60-70センチ位の距離て撮影する事が多い。しかし普通のカメラのピントは1mくらいまでしか合わない。そこでレンズの前にクローズアップレンズといって老眼鏡のようなものをつけて撮影する事になる。このクローズアップレンズはフィルター用の溝にねじ込む事になるが、このねじが切ってないレンズはダメである。(セロハンテープで貼付ける、という方法もあるが、お勧めしない。)C-2100 UZは49mmのねじが切ってあるので、49mmのクローズアップレンズを買ってきてはめる。
 このクローズアップレンズはNO1から普通NO3まであるが、NO.1が望ましい。NO.1は1m、NO.2は50cm用となっていて、本によっては50cmで撮影する場合はNO.2を使用する、とあるが、NO.1でもレンズを繰り出せば1m未満でもちゃんとピントは合う。逆に1mより遠い所(NO.2は50cmより遠い所)にはピントを合わせる事はできない。またあまりきつい度合いのレンズを使用すると、画像が歪んでくる可能性がある。
 次に、マニュアルで露出が決められる、という点である。最近のコンパクトデジカメはフルオートで誰でも写真がきれいにとれるが、マニュアルで露出が合わせられないものが多い。マニュアルで合わせられないという事は露出が固定できない、という事で画面に黒っぽいものが入って来ると勝手に絞りが開いて画面が明るくなったり、白っぽいものが入って来ると画面が引きずられて暗くなる。C-2100 UZの場合はダイヤルを「M」に合わせる。この状態で上下ボタン・左右ボタンで絞り、シャッター速度が設定できる。できるが、大抵のカメラは節電のため、一定時間たつと電源が自動的に切れる。切れると設定した露出値も初期値に戻ってしまう。この自動的に切れる、という機能もOFFに出来るので、OFFにしておく。(出来ないカメラも多いと思うので要CHECK)
 同じように、マニュアルでピントが決められる、という点である。オートしかないと、撮影中にピント位置が前後に移動をして安定した撮影ができない。C-2100 UZはMFでのピント調整ができるが、上下キーによる調整のため、アニメの撮影の操作性から言うと、昔のMF一眼レフカメラ用のピントリングの様に、リングを手で回してピントを合わせる方式が使いやすい。最近のデジタル一眼レフのレンズはピントリングはついているが、リングの回転を電気的に変換してピントを合わせる方式なので、ピントリング自体がレンズに直結しているわけではない。昔のMF用のレンズが今は安くで手に入るので、それを買った方が使いやすい。
 撮影中の画面がモニターに外部出力できる、という点である。(前の写真参照)カメラを撮影台に固定してしまうと、ファインダーや背面モニタを覗くのが大変やりにくい。また、画面には撮影している画像の他、残り撮影可能枚数を始めとする諸データも表示されるので、撮影中に横にモニターを置いて出力しながら撮影すると大変やりやすい。デジタル一眼レフでもこれが出来ない機種があるので、要注意である。
 外部電源が使用できる、という点である。アニメの撮影には長時間かかるため、電池で撮っていたのでは途中で電池が切れてしまう。撮影用の諸設定も消えてしまうので、ACアダプターで撮影できる、という事は絶対に必要である。
 リモコンで撮影できる、という点である。本体のシャッターを押すとカメラがぶれる恐れがあるし、たいがいシャッター位置が押しにくい場所になる事が多い。C-2100 UZには標準で小さなリモコンがついていて(あまり小さいのでなくさないかと心配になる。中古で紛失してついていないケースが多い。)リモコンは有線タイプの方が使いやすい。ズーム調整などの余分の機能は不要で、シャッターを押せればよい。
 というわけで、このU-2100 UZはズームとピントが電動の他はまずまずアニメ用として使えるカメラとは言える。しかし中古でしか手に入らないので、これから新品をお求めになる方はこの記事を参考にして、デジタル一眼レフにマニュアルの3倍程度のズームレンズ、ACアダプタ、AV外部出力ケーブル、リモコン(レリーズ)をお求めになればよいのではないかと思う。(文責 K/Kotani)

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