<2009.4.14 K.Kotani>韓国インディ・アニメ上映2


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2009年4月14日

韓国インディ・アニメ上映2



 本日現在、まだ上映中(シネ・ヌーヴォXで17日まで)だが、一応全プログラムはクリアしたので、まとめておきたいと思う。
 全般的に言えるのは、いわゆる「質」の高さで、参加した日本の若手作家たちも一様に評価していた。画面がきれいに仕上がっており、編集にもそつがなく、音もきちんと録音されていて、プロ仕様の仕上げがされていた。
 また、アニメート技術そのものも全体に高いレベルにあり、「都市で彼女が避けられないモノたち」のつり下げられた家の浮遊感の表現は素晴らしいし、多くの作品で、作者の意図を正確に伝える動きがしっかりと作られていた。(製作補助金で人を雇えるとの事なので、プロのアニメーターを使った? とも思えるレベル)
 一方、「生」の素材を使ったというか、素材の質感を使った、粘土や人形の作品が少なく、手描きの作品でもパソコン上できれいにまとめて仕上げられた作品が多かった。中には人間大の紙にキャラクターを描いて切り抜き、そのあたりの公園などで撮影した作品や、学校の中で人間等ををデジカメでコマ撮り(画質から見てケータイのカメラ?)した作品もあったが、精密な立体アニメというものはあまり興味を持たれていないようだ。
 残念なのは観客の少なさで、チラシは一万枚くらい刷ったそうだが、イベントの多い初日はともかく、本日程の観客のパラパラの入りはさみしい。TVCMを打つのは無理としても、予告編集のようなものを作って一ヶ月くらい前からきちんと宣伝すれば、もっと客が入ったはずだ。特にアニメーションを志す学生の皆さんは必見の内容だ。海外での同世代のレベルが体感できるはずだ。予選を駆け上がってアカデミー賞本選を「つみきのいえ」と戦った「Oktapodi」は学生作品ですぞ。
 運営面でいうと、チラシより詳しいプログラムが無いのが残念。広島ほどではないにしても、次から次へと来る短編作品群をチラシの小さな画像(全作品の絵はない)とタイトルだけで振り返るのはかなり苦しい。
 手元にかなりの作品が重なるインディ・アニフェスト2008のパンフがあるが、全作品が一致するわけではないし・・・ハングル文字は読めないので英文と日本語タイトルを照合して大体のあたりをつけるのだが・・・
 昔に観た韓国の学生作品は、広島フェス入選作品のスタイル模倣が多くてまいったという記憶があるが、今回の作品はスタイルはともかく、画面の質は維持しつつ、映画的な表現に踏み込んだものが多かった。いったいどこからこんな発想がでてくるのか不思議な「愛はタンパク質」や、 単純な線画と淡い彩色で個人と全世界を表現した「Private Beach」、宮崎アニメ「紅の豚」の横ずれ世界みたいな「Christmas in taxi」などが記憶に残る。
 半面、抽象アニメがほとんど無いのも不思議。最初に絵コンテを出すとか、シナリオを出すとかしないと作品を作り始められないような仕組みの学校が多いのか、とも思える。
 後4日の上映(平日の昼間ですが)がありますので、未見の方はどんどんご覧下さい。観て損はしないです。  

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