<2009.4.16 K.Kotani>何が「コンテンツ」だ


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月刊近メ像インターネット


2009年4月16日

何が「コンテンツ」だ



 最近、ネットやら新聞やらで見聞きする所によると、今や鉄鋼産業をしのぐ輸出産業になっているアニメ・マンガ産業について、国策として「育成策」をとり、「世界に通用する「コンテンツ」を作る」ためのアニメ・マンガ コンテンツ産業を国が「育成・指導」するために税金を投入し、2015年には20兆円産業にするそうである。経済産業省が旗を振り、アニメ・マンガ好きの麻生首相の支援も得て、えらい勢いのようだ。
 この「コンテンツ」とは最近よく聞く言葉だが、要は「中身」という事で、アニメーションで言うと「作品本体」という事らしい。ではそれ以外は何か、というと、「包み」(パッケージ)という事になり、DVDの表面のデザイン、流通経路、広告宣伝一般がそのようだ。映画で言うと、製作側がコンテンツ担当、配給側がパッケージ担当という形である。
 この「コンテンツ」を製作する「コンテンツ産業」を育成するとの事だが、要は「世界に通用するアニメーション製作者を育成する」という事になると思うのだが、どうもそうではないらしい。
 「いままではちゃんとした製作者がいなかったから、コンテンツ産業が成長しなかった。」との事だが、某映画会社の故O社長が天界から経産省に雷を落とすのではないか。一応アニメの「コンテンツ産業」はまったくのゼロから11超円産業まで育ったわけだし、この間、国の支援は無い事はないにしても、民間のマンガ家やら、映画会社の社長やら、元受刑者やらがヒイヒイ言いながら積み上げた結果が今日であるわけだし。
 「クリエータは作れれば金はどうでもいいと言って来た」そうだが、アニメーターも制作も「安い安い」としょっちゅう文句は言って来たし、10年に一度くらいは雑誌に「アニメーター残酷物語」が特集されてきたし・・・。
 では何をするのかと言うと、「イベント」をしているのと、何やら東京都にハコモノを100億円以上かけて「アニメ・マンガの殿堂」として作るらしい。
 そんな事に金をかけるくらいなら、韓国みたいに一人100万円の制作援助金を出して、作家の卵にどんどん作品を作らせる方がよっぽど効率がいいだろう。100発打てば一発は当たるだろうし、1000発打てば10発は当たる。1000発で10億円ぽっきり。当たった10発の中から宮崎駿が一人出て来たら、大もうけである。
 最近、若い世代から、制作の中核になる人が出て来ず、数十人の同じアニメーターが、作品の制作毎に取り合いになっているという話を良く聞く。アニメ学校からは毎年何千人もの卒業生が出て来ているが、それは現場で細分化された作業をしているダケでは中々育たないだろうし、子供の頃からマンガを読みアニメを観て来た人が学校で2-4年間アニメの勉強をしただけではあかんような気がする。
 今のアニメの中核になっている人はアニメと全然関係のない学校の出身の人が多い。例えばそういう学校を出て今アニメを作りたいと思っている人に、100万円出して、アニメータを雇わせて作品を作らせる。あるいはアニメ学校の卒業生で見込みのある人に金を出して作品を作らせる。10年も続ければ、それなりの人材が育つとおもうのだが・・・。
 後、100億もかけてハコモノを作るより、民間のコレクターに10億出した方がよっぽどいいものが出来ると思うのだが・・・。
 まあ、そんな事では派手に予算も取れないだろうし、無理だろうなあ。

 追伸・11兆円、20兆円というのはアニメ・マンガだけでなく、出版・映画・テレビ・ゲーム・音楽とかぜーんぶ含めた金額だそうだ。(どうも多いと思った) そんなものが11兆円から20兆円になるもんだろうか?

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