2010.3.06 K.Kotani>
NEW BOOKS 「ecce1 映像と批評」
毎月読める日本で唯一の自主アニメ情報誌
月刊近メ像インターネット
2010年3月06日
NEW BOOKS 「ecce1 映像と批評」
「 ecce1 映像と批評」森話社 税込 2100円
半年以上前に買ったものだけど、ようやく「2」が出る前に紹介にこぎつけた。(ちなみに「2」は2009年11月発行予定とあったが、実験映像関係の本の例にもれず、まだ出ていないようだ。)特集は「映像とアヴァンギャルド」
実験映像にかかわる様々な文章が掲載されているが、佐野明子氏による「アニメーション作家・相原信洋論」が掲載されている。2008年の11月から12月にかけて神戸で開催された、相原さんの「ほぼ全作品」上映会を受けてのものと思う。全作品を細かく見ての考察はさすがである。
というところで、「地球クラブの大久保君」の事を思い出した。相原さんが80年代に東京で主催していた制作グループ「地球クラブ」のメンバーで、どこか「Dr.スランプ」のDr.マシリトに似ていた。東京に行ったときに、相原さんが「大久保君というのがいて、すごいよ」と言っていたのを思い出す。「セルを置き換えるんじゃなくて、どんどん積み重ねていくんだよ」確かに、油性顔料マーカーのような線のセルがどんどん積み重なっていって、セルの厚みの分だけ下の絵がどんどん暗くなって沈んでいく作品だった。また、ドローイングの作品も、グシャグシャで爆発するような動きの作品だった。ご本人はいたって謙虚な感じの方だったが、「今、イベントで名古屋まで来てるので見に来ませんか。」と大阪まで電話がかかってきたのにはびっくりした。(そこから急行バスで日帰りで名古屋まで行く方も行く方だが)
その頃の相原さんの作品は、「雲の糸」から「水輪」にかけての、細やかで滑らかな鉛筆描きの作品の全盛期だったが、突然、爆発するようなぐしゃぐしゃなタッチの動きに変わってしまい、「あれは大久保君の影響に違いない」とアニメ塾の知り合いと話したものだ。その大久保君(フルネームは資料が手元にない・・・)だが、地球クラブはまもなくやめてしまい、他グループでしばらく作品を発表していたらしいが、現在は活動していないようだ。(よく考えたら30年近く前の話だね。)機会があれば、もう一度作品を観てみたいものだが、難しいだろう。
kotani@mx1.nisiq.net