2010.09.11 K.Kotani>
NEW BOOKS 「日本映画は生きている 第6巻 アニメは越境する」
毎月読める日本で唯一の自主アニメ情報誌
月刊近メ像インターネット
2010年9月11日
NEW BOOKS 「日本映画は生きている 第6巻 アニメは越境する」
「日本映画は生きている 第6巻 アニメは越境する」岩波書店 税別2800円
「日本映画は生きている 全8巻」の第6巻。こういうものの6巻だけ買うというのも問題かも知れないが、いまのところ1巻と6巻しかでていない。(売れそうな所から出す?)(そういえば「講座アニメーション」も、結局未完だった。)
「アニメーション」てなく、「アニメ」の本。いわゆる「日本アニメ」の分析の本である。論文集。書き手はアート系や自主制作まで全部知っている人から、日本アニメについては、商業アニメとアニメ雑誌しか知らない(と思われる)人までいる。とにかく「論文」であるから文章は「メチャカタ」から「ハリガネ」クラスの固さ、特に海外の方の翻訳ものは「お経」を読んでいるようだ。
しかしながら、この本「意外」に面白く、読み進むにつれて、日本の商業アニメの実像が浮かびあがって来る。「ガンダム」「ドラえもん」「今川アニメ」など、ほとんど記述の無いアニメーション作品も多いのだが、その点がかえって、現在の日本の商業アニメ界で作られている「膨大」な作品群と、それを作っている作家層の層の厚さを感じさせる。
また、「映画」(せまい意味で、劇場にかかる長編と思える)についてのこだわりも(映画のシリーズ本だから当然だが)あり、また「この際、言いたい事を言ってしまえ」という書き手の「意欲」も面白さの一因のようだ。
とはいえ「固い」本である事は間違いなく、「面白いと言うから買ったが、難解でさっぱり分からんではないか」というクレームはご勘弁願いたい。