<2012.04.19 K.Kotani>花開くコリアアニメーション


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2012年04月19日

花開くコリアアニメーション





 4月14日から19日まで、大阪・プラネット+1において、「花開くコリア・アニメーション2012」が開催されました。韓国で製作された自主制作アニメーションの傑作選を一挙上映です。
 今年は「Life」「City」「Nature」の3テーマによる3つの短編集と、長編「家」の4プログラムに加え、関西の作家グループ「animation soup」の作品集も上映しました。


 また、14日には、Natureで上映された「淑女たちの一夜」のハン・ビョンア監督を招いて、 韓国文化院でアニメーションスープのスタッフによる、ワークショップを開催。色々な素材を使って、日本語の「花開くコリアアニメーション」から、ハングルまで変化させるアニメーションが作られました。
 丁度この時期には、2009年にも北朝鮮のテポドン発射があり、(この時は一発目が「誤報」だった)、今回も開催と重なる時期に北朝鮮の「人工衛星発射」が予定されていましたが、開催前日に無事発射失敗に終わり、開催には影響がありませんでした。
 各短編集とも、力のこもった、しっかりと時間をかけて丁重に仕上げられたのが分かる力作ばかりで、1プロしっかりと見るとへとへとになる感じでした。(日本の一部の作品みたいに、力の抜ける、バカ作品もあると気が抜けるのですが。)作風としては2Dのドローイング作品がほとんどで、クレイアニメや人形アニメは殆ど製作されていないようです。また、具体的なストーリーのある作品が多く、抽象的・実験的映像は作品の中で用いられる事はあっても、それだけで成立している作品はカン・ミンジ監督の葉っぱコマ撮りアニメ「Natural Urban Nature」くらいでした。
 長編「家」は、奇妙な生活感のある精霊「家神」と、居候になった家庭教師の女性との出会いを、老朽ビルの屋上に作られたオンボロ住宅群を舞台に描いた秀作でした。この作品で主要な役割をはたす猫が出て来ますが、この作品の他、短編「ソウルに暮らす子猫」と、「春だから」にも猫が主役で登場。韓国の皆さんは猫好きなのかな。(「犬」はほとんど出てこない。韓国では「食材」という感覚なのでしょうか。)
 今年も、名物事務局長チェ・ユジンさんが来日、上映前の挨拶から上映後の日韓関係者の交流まで、大車輪の活躍でした。14日のワークショップ後の居酒屋の交流会では、ハン・ビョンア監督が「日本のコンニャクは種類が多くで美味しい」と、おでんのコンニャクを数個召し上がられ、ユジンさんはコンニャクにからしを付けすぎて「これは危険」と目を白黒させるシーンもありました。
 韓国では従来、自主制作のアニメーション作家に国が制作費を支援する制度がありましたが、ユジンさんによると、「最近は支援はなくなった」との事でしたが、自主制作を続ける作家の活動に衰えは無く、ハン・ビョンア監督もCMの仕事をしながら短編の製作を続けているとの事でした。
 この韓国アニメはYouTubeでも過去の入賞作品などが公開されています。こちらです。  

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