<2012.12.07 K.Kotani>スキャニング速度実測試験


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2012年12月07日

スキャニング速度実測試験





 アニメーション製作がデジタル化されている現在、平面アニメーションの動画取り込みに最も良く使われているのはスキャナーだろう。スキャナーの他、高画素デジカメなども使用可能だが、以下のような制約がある。

1.周辺光量が落ちる。(画面の周辺部が中心部よりやや暗くなる。)これは、一つのレンズで撮影している以上、どんなに高性能のレンズでも避けられない。白黒二値に変換した場合、周辺に影が出たり、中心部がかすれたりする。周辺部に絵がない場合は影は後で消せばよいが、絵かある場合は手間のかかる処理となる。

(上が撮影したままの画像・下が白黒二値変換した画像の例)

2.精度がスキャナーに比べてやや落ちる。精密なタップ合わせを必要とする多層処理をしている場合は撮影を相当慎重にしないと、微妙にずれるケースがある。
3.カメラで設定しているピクセル数・縦横比以外では取り込みできない。場合によっては、大きめに取り込み後、一部をカットして使用する必要がある。
4.撮影後JPEGで保存すると、描線の周りがやや甘くなる。非圧縮で保存すると、サイズが大きくなって後のパソコンへの転送に時間がかる。

今回は、実際に製作に使用している原画を十枚程度取り込んでみて、ストップウォッチで時間を計測してみた。

 使用機器 MacBook OS10.5.8 intelcore 2GHz
      Canoscan Lide 70(USB接続・USB給電タイプ)
      USB接続外付けHDD 500GBに保存
 スキャナーのドライバーを呼び出すアプリ
      Color it! 4.5(英語版)
 動画サイズ 60×108mm 226dpi で、約960×540ピクセル(16対9)
       フルカラーで読み込み、PICT方式で保存。


計測結果
1.呼び出し側アプリの「TWAIN acquire」を指示してから、ドライバー画面が表示されるまで
平均 8.4秒

2.ドライバー画面の「SCAN」ボタンを押してから、アプリケーションで画像データを操作できるようになるまで
平均 10.8秒

3.ファイル名を変更して、「SAVE→OK」を押してから、保存終了して次の操作が出来るまで
平均 9.9秒

合計 29.1秒

 この内、3の保存に要する時間は、USB外付けハードディスクを認識するのに時間がかかっているらしく、パソコン本体ハードディスクの「書類」フォルダに保管した場合は、ほとんど時間はかからなかった。また、動画サイズを195mm×145mmに変更した場合は、2の読み込み時間は16.8秒、3の保管時間は23.9秒となった。
 この他、実際作業すると、動画の差し替えの時間、ファイル名の変更の時間が必要となるが、動画の差し替えは3の保存している間に出来るから、ほぼ30秒で1枚のスキャンが出来る計算になる。
 以前の、SCSI接続で使用していたスキャナーと比較すると、スキャン時間自体はほとんど変わらないが、アプリケーションからドライバを呼び出す時間が倍以上となっている。(以前は4秒弱でドライバ画面が出ていた)
 なお、PhotoShop Elements 3.0からの呼び出しでは、呼び出し時間自体はほとんど変わらないが、「スキャン後ドライバー(scangear)画面を自動的に閉じない」を選択すると、一々スキャナードライバーを呼び出さずに、「スキャン→動画取り替え→スキャン→動画取り替え」で数十枚の動画を連続で読み込む事が出来る。(Color it! とGraphicConverterでは、指定していてもスキャン終了すると、ドライバ画面が閉じて、今スキャンした画面の操作画面に変わる。)大幅な時間の節約になるが、問題は、保存時に、ずらりと並んだ動画が何番の動画か分からなくなる事である。一応、スキャンした順に、「名称未設定1」「名称未設定2」と仮の名前がついているので、それぞれ「001」「002」と順番に保存していけばよいのだが、途中で分からなくなった時や、順番を間違えたらしい時、1枚スキャンを飛ばして後でスキャンしたような場合、アニメーションの動画は同じような絵がいっぱいあるので、「これは何番だっけ」とスキャンした画像と元の動画を比較してにらめっこするはめになる。

 これを回避する裏技として、「画面のフレームの中に、小さく動画番号を書き込んでおいて、後で消す」という方法がある。昔の8mmフィルム時代の作品には、パララックス(ファインダー画面と実撮影画面のずれ)によって、画面外の色の塗っていない部分が写ったり、タップが写ったり、動画番号が写ったりしていて、(動画番号が写った場合は、映写が進むに連れて動画番号がカウントアップされていって中々面白い)「あーあ」という事になり、「動画番号は画面外の絶対写らない場所に小さく分かりやすく書く」という事をうるさく指導していたものだ。ところが、現在では「撮影」後に、取り込んだ絵をいじくる事が簡単に出来るようになったので、絵と重ならければ、少々のものが(手の指とか、ゴミとか)が写り込んでいても、後で消せるようになっている。。特に、動画の動く部分のみを切り取って背景に重ねるような場合は、完全に消せる。(消し忘れないように気を付けよう)
 ただし、PhotoShopは「重い」ソフトで、起動時に20秒くらい時間がかかる。Color it!は約4秒で起動するため、数枚の絵をスキャンする時はColor it! 、何十枚もスキャンするときはPhotoShopと使い分けるという手もあるようだ。   

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