<2014.7.30 K.Kotani>この期におよんで8mmフィルムでアニメを作る 開催


毎月読める日本で唯一の自主アニメ情報誌

月刊近メ像インターネット


2014年7月30日

この期におよんで8mmフィルムでアニメを作る 開催





  7月26日午後3時より、大阪市東成区のpeas animation 事務所において、「この期におよんで8mmフィルムでアニメーションを撮影する」が、peas animationの主催で開催されました。
 講師は、自主製作歴40年を誇る(?)、K.Kotani。聞き役は、いいだしっぺのpeas animationの植田翔太さんです。
 会場には、8mmカメラ4台(内1台レギュラー8)、8mm映写機2台、8mmエディタービュアー2台、撮影台その他の機材がずらりと並びました。
 最初は「8mm映画とは何か」という説明から始まり、レギュラー8、シングル/スーパー8の歴史などの説明と、現物の説明が行われました。
 次に、家庭用の唯一の動画記録再生手段としての8mmの説明と、音の同調の話をしました。テレコと映写機が別々に走るので徐々にずれてくるのを防ぐ為のFTS方式やバルス方式の説明をした上で、当時の家庭での鑑賞状況再現の為、光学録音入りの「ゴジラ」短縮版を、わざわざカセット同調で上映しました。音が順調にずれてくるのに合わせ、映写機を止めたり遅くしたり、それでも「口パク」が完全にずれていく所で一同爆笑。(しかし、世間では「デジタル・リマスター版」やら、ハリウッド製の新作を観ている中、冷房の無い車庫の中で8mm短縮版映画!)
 さらに、いよいよ物語も佳境、という所でなんとチノンS9000のランプが切れて画面が真っ暗になるというオマケ付き。(わざとではないんです)早速、アチチチと言いながらランプを交換して上映再開。なんとか上映を終える事が出来ました。
 次に、テレビ番組の記録方法として8mmフィルムしか無かった、という事の説明のため、「長猫」のテレビ画面撮り、磁気録音入りを「当時はビデオなんか無かったんです、みんな音だけカセットに録音して聞いていたんです」などと説明しながら上映。最後に、K.Kotani作品「ネバネバ」8mm版を画面を上下させ、「8mmフィルムに写っている画面全部が上映される訳ではない」事を説明しながら上映しました。(結構ウケました。やはりフィルム上映のせい?!)


 休憩をはさんで、いよいよ撮影の説明。コマ撮り機能の無いフジカP300でシャッターボタンを「ポン」と押しての強引なコマ撮りの方法とかも含め、ビデオとは異なるフィルムの色温度の説明、クローズアッブレンズの説明、レリーズの長さの説明、オートとEEロックしかないカメラでのマニュアル露出の方法の説明、撮影台へのセット方法、フレームの合わせ方、テスト撮影の方法等盛り沢山の内容でしたが、一番バカ受けしたのは手やタップが写って「撮影失敗」した作品が、そのままどんどん各地の上映会を巡業していく話でした。
 ここで「お話」は一応終了、後半の「ワークショップ」に移りました。動画用紙に描いた「しりとりアニメ」を本当に8mmで撮影するというもので、使用するカメラは前々回の広島フェスの時に現地のカメラ屋で「980円」で買ったフジカZ450。使用するフィルムは、レトロ通販で自主制作している「シネビア50D」。植田さんの話に寄ると、ネット上では「品切れ」になっていますが、店に電話すると現物は「ある」との事で、送料現像料込みで、1本おおよそ5000円までで出来るそうです。
 車庫内の一角を仕切って作った冷房の無い撮影室で、300Wの白熱灯2灯を付けての「熱気」につつまれての撮影が、「快調」に進む一方、外では、「8mmフィルムでも光学録音が出来た」という証左の「鯨おいしいね 光学録音版」の参考上映中に、もう一台の8mm映写機・エルモST160が突如動かなくなり、裏蓋を開けると、映写機のベルトが切れているという事が判明しました。2台も実働の8mm映写機が並ぶのも珍しいが、上映中に2台とも壊れる、というのも珍しい、「お客さんラッキー!」
 さらに、撮影室では、撮影たけなわになって「EEロック」が出来ていない事が判明、いやこのくそ暑い中、冷房もつけずに8mmのアニメ撮影をすると失敗するという、見本のようなお話でした。
 惨状を見かねた参加者の方より「ガリガリ君」の差し入れもいただき、撮影もおおむね終わったようですが、果たしてきちんと写っているのかいないのか、注目の現像結果は、しばらくお待ち下さい。


近メ協のページに
もどる
近メ像のページ
もどる
アニメのページにもどる
ホームページにもどる