2015.08.31 K.Kotani>
ズームレンズ付きUSBカメラが欲しい
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月刊近メ像インターネット
2015年8月31日
ズームレンズ付きUSBカメラが欲しい
本体側面に、シャッター速度・ゲイン・ホワイトバランスをマニュアルで調整できるダイヤル付き。緑マークにあわせるとオートになる。レンズは、5倍の回転式ズーム。ピント・絞りはマニュアル。(Cマウントにすると高くなるかな)三脚穴は上下に対称にについていて、ひっくり返して三脚に付けられる。
USBカメラというのは、パソコンのUSB端子にケーブルの先を差し込むと、パソコンから電源が供給されて動作するビデオカメラで、パソコン側に映像データを送り込む事が出来る。webカメラとも言われるが、パソコンを使ってのインターネット経由の映像付きチャットなどに用いられる事が多い為、用途の方からついた名称だ。
一台1000円位からあって、非常に安価で手に入れやすい。
最近はパソコン本体にカメラ内蔵の場合も多い。
パソコンに接続して、取り込みソフトを起動すると、パソコン画面上にUSBカメラで撮影している画面が出てくる。ソフトにもよるが、動画の他、静止画像も取り込める。
このUSBカメラ、「クレイタウン」や「FramebyFrame」などのアニメコマ撮りソフトにも対応していて、実に簡単にアニメが作れる。マニュアルでピントの調節の出来るものもあり、学校などでの実習にはもってこいの機材である。
ところが、このUSBカメラで「作品」を作ろうとすると、問題が発生する。
第一は画質で、30万画素クラスのものだと、かなり苦しい。200万画素クラスで、「ガラスレンズ搭載」とうたったものだとかなりきれいな絵にはなるが、別の問題がある。
「露出」である。USBカメラはほとんどのものが「自動露出」で、画面全体の明るさを自動コントロールするため、画面に白っぽいキャラクターが入ってくると暗くなり、黒っぽいキャラクターが入ってくると明るくなる。また、しょっちゅう明るさを調節するため、あまり画面に動きがなくても、露出がふらふら振れるため、アニメを撮影するとちらちらしてしまう。
Windows/Mac共に、USBカメラの露出をコントロールするアプリもあるのだが、使えるカメラ、使えないカメラがあったり、カメラによってコントロールできない機能もあったりして、安定して使うのがなかなか難しい。
デジタルビデオカメラによっては、パソコンに直結して安定した画像を送る事が出来る機種もあったのだが、現在は市場から姿を消している様子である。
USBカメラが出回る以前の話だが、マニュアルで露出コントロールのできるビデオカメラのビデオ出力端子から出した信号をビデオキャプチャーボードでパソコンに取り込めば比較的露出の安定した画像が取り込めた。この方法で作品を作った事もある。だが、ビデオカメラの電源も別に取らねばならず、経費と手間のかかるわりには、画質も今ひとつである。後述するが、画面サイズも固定であまり大きくない。
この方法には、もう一つメリットはある。ビデオカメラはほとんどがズームレンズ付きのため、フレームをあわせるのが簡単である。
USBカメラは、基本的に全部単焦点レンズのため、フレームを合わせようとするとカメラ全体を前進・後退させなければならず、カメラを動かすと再度ピントを合わせ直しせねばならず、そうすると又フレームがずれる、というやっかいな事になる上、カメラと対象物の位置関係が固定されてしまうため、撮影に制限が加わってしまう。
「ズーム機能」のあるUSBカメラもあるのだが、デジタルズームにしか過ぎず、「寄ると、画質が落ちる。」という問題がある。
また、USBカメラはほとんどの機種に三脚穴が無く、クリップでなにかを挟んで固定するようになっている。本来の用途であればそれで問題はないのだが、アニメの撮影用となると、ちょっとした事でカメラが動いてもらっては困る。それなりにがっしりと三脚か撮影台に固定できるようにしていただきたい。
USBカメラには、ビデオカメラのアナログビデオ信号をキャプチャーボードで取り込むのと比較して、大きなメリットが一つある。ビデオカメラのアナログビデオ信号をキャプチャーボードで取り込む場合は、640×480ピクセルでしか取り込めないが、USBカメラでは、1600×1200ピクセルまで取り込める機種がある。このサイズであれば、ちょっとしたスキャナーの代用として使える可能性がある。
USBカメラで取り込んだ画像の全体(縮小) 原寸大
ノートパソコンに搭載のカメラで取り込んだ画像の見本。画質に問題はあるが、レンズをきちんとしたものを使い、ソフトウェア的に処理すればきれいな画像を取り込めると思う。
MacのOS9の時代に、ムービーの数コマを平均して重ね合わせ、滑らかな画像を作る、というフリーウェアがあった。当時実際に使ってみたが、放送電波が弱くざらざらした画質のTV録画のムービーを5フレーム程度重ね合わせると、普通の放送を取り込んだものとほぼ同じ画質になった。一回の処理に数秒かかったが、スキャナーで取り込むのに比較すると遥かに早いと思う。
ひとつ問題なのは、1600×1200の画面にすると、画面がパソコンの画面からはみ出してしまう事で、800×600の画面にすると800×600のサイズの絵しか取り込めない事だ。取り込み作業時には実際に取り込んでいる画面の全体を確認したい所なので、この辺りは、取り込みソフトで一工夫していただいて、パソコン画面で全体を確認しながら、大きなサイズの絵を取り込めるようにして欲しい所だ。
撮影中の画面 取り込まれた画像。右と下が撮影中の画面に無いのが分かる。
ここまでの所で「欲しい機能」をまとめると、「本体側で、ピント・露出をマニュアルで固定できる」「光学ズームレンズ搭載」「三脚の穴付き」という事になる。
レンズは、普通の写真用のマニュアルフォーカスズームレンズを小型化する(CCDは200万画素あれば十分と思われるので、設計の負担はさほど大きくないと思う。)だけで良いと思う。ピントリング・ズームリング・絞りリングはレンズに装着。今はやりの「Cマウント」にすると、高くなるか? 露出は、シャッタースピード・ゲイン・絞り・ホワイトバランスの固定だが、USBカメラは絞り固定のカメラがほとんどなので、絞りはレンズ部分のマニュアルのみでも通常の使用にも問題は無く、シャッタースピード・ゲイン・ホワイトバランスを本体のダイヤルでオート・マニュアルで切り替え・固定できるようにする。露出は、パソコンに実際の撮影画面を出してそれを観ながら適当に調節すればいいと思う。
三脚穴は、通常カメラの下部のみだが、上部にも付けてひっくり返して取り付けできるようになっていると、三脚にカメラを下向きに取り付けての撮影時に、「手前が下」になる様にセッティングできて撮影がやりやすい。
というわけで、ぐだぐだ考えた結果をまとめたのが一番上の図のカメラ。別に大した事はなく、新しい技術も不要だが、あまり売れないだろうから、もし作ったら一台10万円くらいになるのかなぁ。なんとか2万円以下になってくれたら、買うんだけど。