2017.10.22 K.Kotani>
NEW BOOKS 芸術新潮 2017年9月号「特集・日本アニメベスト10」
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月刊近メ像インターネット
2017年10月22日
NEW BOOKS 芸術新潮 2017年9月号「特集・日本アニメベスト10」
芸術新潮 2017年9月号「特集・永久保存版・30人の批評家が投票! 日本アニメベスト10」定価税込み1440円、新潮社。
「30人の批評家がそれぞれ「日本アニメ100年の歴史の中でもっとも重要だと思われる10作品をお挙げ下さい。」と言われて挙げた10作品」を元にした特集。一応、最多投票の作品のベストワンは「エヴァ」、監督のベストワンは「宮崎駿」となった。
「アニメ」とひとくくりで言っても、アート系個人作品から劇場用長編、TVシリーズや教育映画の短編まで全部「コマ撮りで作った映画」とくくりでアニメに含めて「もっとも重要だと思われる10本選んで下さい」だから、さぞかし皆さん選ぶのが大変だったと思う。「くもとちゅうりっぷ」と「アキラ」と「道成寺」の中から一本選べ、と言われてもさて困るところである。
で、そこは割り切って「他に29人いるんだから、全員足して30で割れば、バランスがとれるだろうから、自分の好みで選んじゃえっ」と皆さん選んだのがこの結果ではないだろうか。
この「もっとも重要だと思われる作品」というのは「優れた作品」とは微妙にニュアンスが異なり、「アニメーションの歴史の節目にあって、その後のアニメーションに多大な影響を与えた作品」という意味合いがあるが、やはり「優れた作品」というものは、その後の制作者に与える影響大なものもあるから、結果として「優れた作品」が多く選ばれる結果となったようだ。
さて、この30人の方の選んだ作品と寸評、そして特集本体の各文章を読み込んで行くと、「結果としてバランスのとれた作品選択になった」という点とは別に、特にテレビアニメ勃興期からの日本アニメの発達の歴史が多角的な視点から立体的に浮き上がってくる部分があって大変面白い。
月刊誌であるが、大きな書店ではバックナンバーとして置いている店も多いと思われるので、未読の皆さんには一読をお勧めしたい一冊である。