<2018.02.24 K.Kotani>Animation Runs!  Vol.30・「三ツ星レストランの残飯監督特集」


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2018年2月24日

Animation Runs!  Vol.30・「三ツ星レストランの残飯監督特集」





 2月23日、ブックカフェギャラリーQuiet Holidayにおいて、Animation Runs!  Vol.30・「三ツ星レストランの残飯監督特集」が開催されました。
 この特集については、前回の上映会の終わりに、主催者の方が「次回の監督は、私も作品をまとまった形で観るのは初めてなので、ひょっとしたらとんでもない事になるかも知れません。」と予告されておられました。会場には京都からルーメンギャラリーの由良泰人さんも来られていて、「教え子なので、作品をまとめて観に来ました」とおっしゃられておられました。大丈夫か。
 上映は、6作品を監督指定の順番に行われました。なんというか、画面から送り出される映像の圧力の凄まじさ、なんでそんな事になっているのかという事を説明するのは難しいのですが、「会場の床が抜けるのではないか」と心配する程のボルテージの高い作品群でした。
 上映後、由良さんに「この監督を教えた先生の顔がみたいですねぇ(笑)」と申し上げたら、「どうもすみません」と笑っておられました。
 恒例のトークはスカイプトークやビデオトークではなく、監督が顔出しNGという事で、録音した電話インタビューに参考映像をつけての上映となりました。監督によると、大学とイメージフォーラムでアニメーションと映像を学んで制作したが、ソフトをいろいろ使いながら、自分なりに技法を作って制作した、フラッシュは使えなかったが、アフターエフェクトとフォトショップの組み合わせが丁度合っていた、というようなお話でした。
 映像というのは、撮影・上映する機材のテクノロジーに依存した芸術です。歴史的には、フィルムで制作されていた時期が一番長く、その時代にはフィルム制作に適応した手法・技法が多く開発され、映像表現を拡張・深化させてきました。その後、ビデオに移行しても、基本的にはフィルムの手法・技法をビデオに移し替えた制作が行われてきました。アニメーションにおいても、デジタル式のTVアニメは、基本的にセルに原画をトレスし、絵の具を塗って彩色していたアナログ時代の方法をパソコン内に置き換えたものです。CGで3D化されたアニメーションでも、たとえばディズニーの新作長編は、確かに3Dの映像ですが、動きのタイミングやキャラクターの表情などはほとんどアナログセルアニメの時代と変わらず、カメラは自由自在に三次元的に動かせるようにはなりましたが、カメラワークの本質自体はアナログ時代と変わらずで、「これでええのかな」と思う事があります。
 今回の監督の作品を観ていると、デジタルの時代に生まれてデジタルの機械で育ち、デジタルの機材を使ってデジタル的に深化した技法を作って表現をされている様子がよく分かりました。アマチュアの自主上映では、「あー、また、アフターエフェクト一発、かいな」と思うような作品も多いのですが、やっと時代は変わって来ているようです。

 「Animation Runs! 」の次回は、 2018年3月16日(金)17日(土)に、「花開くコリアンアニメーション特集」(昨年までの作品よりセレクト)が予定されています。

   
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