<2019.4.25 K.Kotani>NEW BOOKS 「日本のアニメーションはいかにして成立したか オルタナティブの日本動画(アニメーション)史」西村智弘著


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月刊近メ像インターネット


2019年4月25日

NEW BOOKS 日本のアニメーションはいかにして成立したか
 オルタナティブの日本動画(アニメーション)史」西村智弘著





日本のアニメーションはいかにして成立したか オルタナティブの日本動画(アニメーション)史」西村智弘著  森話社 税別3400円
 いわゆる通史ものではなく、アニメーションという「用語」と、アニメーションという概念が、日本で如何に受け入れられて来たか、という事について、時代を追って、当時の報道・評論などを元に丹念に検証した力作。よって、時代としては1910年代のアニメ創建期から始まり、2010年代の最近に至るまでカバーしているが、「日本アニメーション映画史」のような「正史」的に作家や作品とスタジオの変遷などを綴った本ではない。
 著者の西村智弘氏は1990年代に東京で自主制作アニメーション上映に関わって活動されていた方で、この本でもPAFなど自主アニメーションに関する記述は詳しい。(しかし、戦前のアマチュア作家の活動から連なる日本アマチュアアニメーション映画協会の8mm時代からの製作上映活動と、日本アマチュアアニメーション映画協会と入れ替わるように登場したDoGAのCGアニメコンテストについての記述がまったく無いのは不思議である。)
 後半は、「アート・アニメーション」と呼ばれるアニメーション作品群について、その概念と使われ方、「芸術〜」「インディペンデント〜」などの別称や、その作家活動、日本の商業アニメとの関係について、考察を深めている。
 読み応えのある力作、好著である。必読。  

   
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