<2019.6.23 K.Kotani>NEW BOOKS 「高畑勳監督大アンケート」五味洋子編・自主出版


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2019年6月23日

NEW BOOKS 「高畑勳監督大アンケート」五味洋子編・自主出版





「高畑勳監督大アンケート」五味洋子編・自主出版・BOOTHで頒布中(1800円)148ページ

 2018年4月に逝去された高畑勳監督について、かっての伝説の同人誌「Film 1/24」の名編集長であり、現在アニメ評論家として活躍中の五味洋子さんが主にネット上の知人を中心にアンケートの呼びかけを行い、寄せられたアンケートの回答(というより「原稿」)をまとめ、五味洋子氏自身がフィルモグラフィー・作品解説を追加。寄せられた回答(原稿)には、普通の回答あり、ページものの漫画あり、「論文」ありで、ボリューム満点の内容。
 それぞれの回答(原稿)には、高畑監督への熱く強く深い想いが込められており、2ページ読んでは考え込み、3ページ読んでは感慨にふけり、とても一気に読めたものではなく、なんと言う濃い内容の本かと思う。
 「群盲像を評す」ということわざがあるが、確かに高畑監督のような創造の巨人となれば、一人の人間でその概要を理解して評価するという事は難しく、誰が試みても「壁のようだ」「蛇のようだ」「柱のようだ」と一面的な評価しか出来ないだろう。しかし今回参加者には、いわゆる普通の観客あり、「ホルス」で人生が狂った人があり、作家として影響を受けた人あり、高畑作品のスタッフとして参加した人あり、日本アニメーション研究のレジェンドあり、その他なんでもありで、いかに群盲といえどもこれだけの人数があらゆる角度から総掛かりで挑めば、さしもの創造の巨人といえどもおぼろげにその全貌を現さざるを得ないだろう。
 よって、すーっと一気に読んで「あー面白かった」で済ます本ではなく(読める人はいないと思うが)手近に置いておいて、時折開いては数ページを読み、また別の日には数ページを読み、内容を反芻し、スルメを噛むように読むのが本書の正しい読み方では無いか。
 なので、常時本棚に立てておきたいのだが、残念ながらこの本には背表紙にタイトルの印刷が無い。マジックで書くのもどうかと思うので、自分でブックカバーを作って、背表紙の所にタイトルを書いておく事をお奨めする。
 なお、この本に一人の回答者として参加する幸運を得た。呼びかけ頂いた五味洋子さんに改めてお礼申し上げたい。

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