<2020.4.9 K.Kotani>花開くコリア・アニメーション2020+アジア in 大阪


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2020年4月9日

花開くコリア・アニメーション2020+アジア in 大阪





 花開くコリア・アニメーション2020+アジア 大阪上映土日分が4月4日・5日の2日間に渡って、開催されました。(6-8日予定の3プログラムは、後日1日でまとめて上映予定との事、日程未定。)
 今回は、新型コロナウィルス騒動の余波を受け、韓国作家の来日不能、各種イベント等の自粛などが相次ぎ、一時は開催も危ぶまれる様子でしたが、関係各位の尽力により、なんとか土日分開催までこぎつけました。昨年からの「おしゃべりランチ交流会」は中止となりましたが、作家のトークイベントは、さすが科学の21世紀、文明の利器「スカイプ」を駆使しての、日韓インターネット中継による実施となりました。
 今回は、短編3プログラム、長編1プログラムの計4プログラム。土日で全部観れる構成でした。


KIAFAの名物事務局長 チェ・ユジンさん 場所はKIAFA事務局会議室

 トークイベント1は、短編プログラム「With You」で、「愛は夢と現実の交差路」が上映されたチェ・ヒスン監督と、花コリのビジュアル関係のデザインを担当したイ・ジナさんによる「教えて! 韓国クリエーターの制作現場」。観客席からも質問が次々出て、盛り上がったトークになりました。なお、イ・ジナさんは、今回でビジュアル担当を卒業して、次回からは別の方になるとの事。また、毎回のポスター・チラシ表紙に、「私はどこかにいます」との事なので、おひまな方は探してみてはいかがでしょう? なお、丁度ビジュアルブック「グルングルングルン」が刊行されたばかりでこの騒ぎになり、大変との事でしたが、まもなく国際版も出る予定との事で、猫に満ちあふれたこの本、猫好きの方はいかがですか? (会場で物販の予定でしたが、航空便がほぼ止まっていて、商品が届くのが遅れており、今回の大阪には間に合いませんでした。)

 今年の長編は、「ウルフ・ダディ」「ウリピョル1号とまだら牛」のチャン・ヒュンヨン監督による「魔王の娘、イリシャ」。ジブリアニメが好き、というチャン監督、背景アートや設定にはそれらしき面影がありましたが、主人公は「妖精界の魔王の王女」という設定でありながら、ジブリのお姫様たちとは違って気品のかけらもない、普通の少女マンガのヒロインの様な普通のドジな女の子です。イリシャの父親の魔王を殺して妖精界の支配者となった偽魔王が地上に人間の魂を狩りに来た事をきっかけにイリシャは妖精界に戻り、彼女を助ける妖精達の助けを借りて偽魔王と対決するというお話ですが、意外と細かな伏線もあちこちに引いてあって、「おお」と思わせる映画でした。自主制作で、制作費は日本円換算で7000万円位、日本のテレビアニメ並みの予算ですが、作画の画質は、ジブリのようなぜいたくな細やかさはありませんでしたが、必要にして十分の出来かと思います。


 ここで、たまたまKIAFAの事務局にチャン監督が来ている、という事で急遽臨時のスカイプトークが開催されました。これはコロナ騒動の怪我の功名。質問コーナーで、「前回作に続いて、ミュージシャン対悪の魔法使い、という構図になりましたが、監督にとっての音楽とは?」とお伺いした所、「なんで音楽家ばっかりになるのか、と思う事もあります。音楽とは、人の心に働きかける魔法のようなものかとも思います。ただ、次回作は別のものにしようと思っています。」との事でした。

 トークイベント2は、韓国で観客賞受賞の「愛は夢と現実の交差路」のチェ・ヒスン監督登場。落書きのようなヒロインと、絵に描いたような美少年(絵だが)2人による三角関係というマンガみたいな物語。お約束の壁ドンや、美少年のいかにもそれらしい振り向きのしぐさ、(監督は、その作画に当たって、自分でやってみたそうで、スカイプ画面でも「こんなふうにやった」というポーズを見せていただきました。)など大サービス作品。なんでも、「家族知り合いをアート系アニメの上映に連れて行ったら寝てしまったので、眠くならない作品を作った。」との事でした。中々お美しい方なのですが、いわゆる「ゲラ」の方で、しょっちゅう大笑いされながらの楽しいトークとなりました。

 今回は、監督の来日はなく、物販も届かず、懇親会もない花コリ大阪上映でしたが、名古屋や東京が大幅延期になる中、非常事態宣言寸前の状況で、無事全プログラム上映ができたのが何よりかと思います。
 今後は、東京は大幅延期・日時未定、名古屋は現在の所10月開催予定と発表されています。

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