<2020.12.06 K.Kotani>NEW BOOKS 「デルタの羊」塩田武士著
毎月読める日本で唯一の自主アニメ情報誌
月刊近メ像インターネット
2020年12月06日
NEW BOOKS 「デルタの羊」塩田武士著
「デルタの羊」塩田武士著 KADOKAWA 税別1700円
アニメ業界を舞台にした業界もの。架空のSF小説「アルカディアの翼」のアニメ化にからみ、優秀ではあるが超一流ではないアニメーターの主人公、「アルカディアの翼」でつながったプロデューサーの旧友、超一流「神」アニメーター、こだわりの強い原作者、一癖あるスター声優など、ひとつの作品の周辺に現れる様々なアニメ関係者や組織形態などが、原作のアニメ化の挫折と再挑戦というストーリーを軸にドラマを繰り広げる。
舞台は東京と主人公の故郷松山で、ひょっとして中川先生出て来るかと思ったが、やっぱり出て来ない。残念。
わくわくドキドキするほど面白いかと言われるとそうではないが、アニメーターや映像関係スタッフの「画作り」の部分は妙に皮膚感現場感覚がある部分があり、「アンタ、アニメ作った事があるんじゃないの」と言いたくなる。
中川先生は出て来ないが、巻末の取材協力に「えびせん」OBの角銅さんの名前がある。「参考文献」には、最近のアニメ業界に関する書籍がずらりと並び、知らない本もけっこうある。きちんと調べて書いた本である。一読の値打ちあると思う。
