2024.5.18 K.Kotani>
画像生成AIを使ってみた
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月刊近メ像インターネット
2024年5月18日
画像生成AIを使ってみた
最近話題の「画像生成AI」を使ってみました。試用してみたのは「My Edit」という、Web上で画像生成させてダウンロードするタイプ。提供しているのは、台湾の「サイバーリンク」という会社で、映像編集や画像編集などのソフトを販売していて、ネットの広告などでも良く見かける。
無料プランでは何も生成しないので、月額1460円(年払いにすると大幅に安くなる。)を申し込む。
生成のさせ方は、「生成させたい画像を言葉で書き込む」「画像の縦横比を選択」「画像のスタイルを選択」「生成する画像数を選択」し、「生成」を押すと、生成が始まって、画面のウインドウ上に生成した画像が表示される。4画像を生成した場合は、一番最後の画像がウインドウに表示され、後の3画像は画面下にサムネイルで表示される。
早速生成させてみる。お題は「アニメ映画「Oh! バイトくん」の映画の中に出てくる古びた貧乏アパート「仲野荘」の中のぼろぼろの雨漏りのする部屋。」、出て来た画像はこれ。
期待していた画像と全然違う絵が出て来た。
お題を変更する。「アニメ映画「男おいどん」の映画の中に出てくる古びた貧乏アパート「下宿館」の中の何も置いていない四畳半の部屋。」
しやから、「何も置いていない」「四畳半の部屋」とゆうとろうが!
またお題を変更する。「アニメ映画「風の谷のナウシカ」の映画の風景。」
おお、これは、なんとなく近い。最近の有名な作品にはよく反応するようだ。
引き続いて、お題「「プリキュア」の新シリーズの登場キャラクターたち。」
そのまんま使えそうである。どうも、「得意」と「不得意」の差が大きいようだ。
今度は、お題「「かいぶつ宝島」というアニメ映画の登場キャラクターたち。」
うーむ。ジブリとワンピースが合体したような感じだ。
あっと言う間に、手で描いたらものすごく時間のかかるような絵がパッと出で来るが、「こんな絵が描いて欲しい」という要望には中々応えてくれない。ネットで見ると、「お題」の出し方が難しく、「呪文」と言われているらしい。
この絵も、よく見ると、後ろに見えているお城が、昔の中国のお城だ。
こんな事も起こった。お題「アニメ映画「マリ」に出てくる、袖なしのTシャツとデニムのミニスカートを着た、女主人公のカンフーのアクションシーン。」
何故か、背後の町並みの看板は、中国語である。おおっと、足が一本多い。どうも、普通に立っているだけならいいが、ややこしいポーズをとらせると混乱するようである。また、「芝生の上に仰向けに寝ている。」と指示しても、立っていたり、ものにもたれていたりして横にならない。背中を地面につけて寝るのは不得手のようである。
引き続き、お題「アニメ映画「大阪夏の陣」の映画の中の大阪城天守閣炎上シーン。」
「アニメ映画」じゃと、言うておる。背後の町並みが、現代のビル街だ。これはどこの天守だろう。
ちなみに、同時に4点生成させた残りの画像は、全部別の画像で、少しずつ違う。別の画像では、天守が、現在の大阪城天守そのままの画像もあった。さらにもう一回「生成」を押すと、もう4つ別の画像が生成される。何十回押しても別々の画像が出で来るが、最初に「実写」と「アニメ」を間違えるといつまで経っても直らず、実写の写真のような絵が出て来る。
また、ちょっとずつ違っているのはいいが、いっぱい作った大阪城天守の建物が全部すこしずつ違う建物で、階数やら色やら形式やらばらばらである。アニメの背景として使うのであれば、これは困る。
また、「人物」でもちょっとずつデザインが違う。先ほどの「マリ」も5回・20枚作ったが、全部髪型と衣装がちょっとずつ違う。「この髪型と衣装でポーズを替えてくれ」というオーダーはできない。
つまりは、言葉はあまり良く通じないが、もの凄く上手くて手の早い台湾の絵師に「こんな絵を描いて」と日本語で頼み、それを翻訳ソフトで解釈した絵師がパパッと描いてくれる、というもののようだ。
背景としては普通に使えるクォリティの絵ではある。しかし、「星空」とか、「遥か彼方の山々」とか、「ビル街」ならはまだ背景として使えるかもしれないが、登場人物にピタッと合わせる必要のあるカットでは、キャラクターが建物にめり込んだり、空中に浮かび上がったりしてしまうだろう。「ある程度場面に合った背景」を先に作らせて、それに合わせて作画すればよいのかも知れないが、果たして「ある程度場面に合った背景」」が出来上がるのかどうは怪しい。何回生成を繰り返しても、出来上がらない場合も考えられる。
結論から言うと、今すぐ自主アニメの素材としてそのまま使うにはいろいろ問題があって無理がある。しかし、参考画像としては使えると思う。
最近のテレビアニメでは資料と人間の想像力だけでは追いつかないので、それらしい場所に行って写真を撮り、その写真を元に場面設定して背景を描くそうである。それが各地に「聖地」が生まれる原因なのだそうだ。自主アニメ作家でも、「はて?」と悩むシーンがあるかもしれない。ネットで探しても参考になる絵がない。そんな時に、「ハワイの海岸に日本の城の天守閣か建っている風景」とかオーダーすると、参考になる絵が出で来るだろう。
あるいは、ちょっとずつ違った絵をものすごく沢山作らせて、並べなおしてへんてこりんな動きのアニメを作るとか、普通のアニメ制作の枠に入らないような技法が生まれるかもしれない。
まあ、この「生成AI」というもの、日進月歩なので、もう一寸たったら、さらに様相は変わってくるだろう。楽しみである。
以上、「画像生成AI」についての試用感レポート、感想でした。