<2024.06.22 K.Kotani>NEW BOOKS 「アニメマニアが語るアニメ60年史」


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月刊近メ像インターネット


2024年06月22日

NEW BOOKS 「アニメマニアが語るアニメ60年史 1963-2023」





 「アニメマニアが語るアニメ60年史 1963-2023」小黒祐一郎 発行スタイル社 定価1500円税込み1650円。
 という訳で、対談を元にした「アニメを観る事が大好きな人」の視点から見たアニメ60年史。
 PART1では、1963年頃から2000年頃までの「アニメ」について、種々の「うんちく」が語られる。よく観ているなぁ、よく覚えているなあ、と感心。まあ、それを仕事にしているわけだから当然かもしれない。
 PART2では、先ず「アニメ」と、「アニメーション」の違いについてのお話。ここでの「アニメ」とは、「主に、商業ベースで作られた、通俗的な誰にでも判るアニメ」で、「アニメーション」とは、「作家性のある監督の作った芸術性の高いアニメ」の事らしい。そうすると、「パラパラまんが」や「驚き盤」、ATMの説明画面やパチンコ屋の動く看板やネオンサイン、現代アートの一部としての「動くインスタレーション」まで含む、広義の「アニメーション」と、ここで語られている狭義の「アニメーション」とは別のものとして読まないとややこしい。
 ここで、「個人アニメ」と、「商業アニメ」の話が出て来る。「アニメーション80」とか、「えびせん」とかPAFまででてくるんだけど、「当時関東にいたアニメを観る事が大好きな人」から観たら、当時の事象はそう見えるのか、としか言い様が無い。
 「ほしのこえ」を語るのにCGアニメコンテストは出て来ないし、90年代まで活動を続けていたアマチュア・アニメーション協会の話も出て来ない。70年代から続けられていた海外アニメーション作品の自主上映活動もほとんど出て来ない。
 70年代の終わりから80年代初めにかけて開催されたアニメーションワークショップやアニメ塾などのワークショップ活動も無視されている。
 また、個人制作の自主アニメーションを語るのに、1990年代に起きた制作へのパソコン導入の影響がほとんど触れられていない。8mmフィルムの撮影環境が消滅しつつあった時代に起こった革命的な変化だったし、自主アニメを大々的に盛り上げた変化だったのだが。
 当時の商業アニメについては「全部」観ていたのではないかと思われる程詳しすぎるほど良く観られていて、分析も詳細なのだが、個人制作・自主制作関係については、欠落している部分が多すぎて、抜けている部分を無理に補った結果、こういう結果になったようである。残念。
 
   

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