<2024.07.07 K.Kotani>NEW BOOKS 「VIDEO SALON 2023年12月号 インディーアニメの現在地」


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月刊近メ像インターネット


2024年07月07日

NEW BOOKS 「VIDEO SALON 2023年12月号 インディーアニメの現在地」





 「VIDEO SALON 2023年12月号」発行玄光社 定価1500円税込み1650円。
 たまには本屋に、と梅田に出かけたところ、この本が売っていた。こういう事があるからたまには本屋はチェックしないといけない。
 玄光社とは、昔月刊誌「小型映画」や「技法シリーズ」などの8mm小型映画関係の出版をしていた会社で、この雑誌は「小型映画」の直系の子孫にあたる。事実、「小型映画」の読者も多く引き継いでいて、昔は巻末に小型映画時代から続く「売ります・買います」のコーナーがあり、昔の近メ像の読者の中にも、このコーナーで「フジカZC1000」を入手した方がいる、というエピソードを聞いている。(現在は「売ります・買います」のコーナーはない。ヤフオク・メルカリにその場所を譲ったらしい。)
 サブタイトルに「映像制作のノウハウ探求マガジン」とあり、記事の方も制作関連がほとんどで、新発売機材の紹介コーナーもある。
 さて、今号特集は、「インディーアニメの現在地」という事で、作家8名の作品紹介とインタビュー、解説など。ベージ掲載のQRコードをスキャンすると、動画掲載のページに飛んで、作品映像を直に見る事ができる。さすが科学の21世紀の雑誌である。
 とりあげられた8人はいずれも若手で、第一線で現役パリパリ、MVなどの制作現場で活躍していて、紹介作品もMVが多く、みなさん概ね作品で収入を得られております。という事は、つまり若手プロ作家の紹介、という事になります。
 ページを開くと、作品のスチルが贅沢に並び、さすがプロだけあって素晴らしい。さて、どんな映像か、とスマホでQRコードを読み込んで、動画を観る。動かない。
 いや、動かないのではなく、カメラワークその他で素晴らしい映像表現にはなっているのだが、アニメーションらしい動きの表現を使った作品はほとんどない。今風のはやりはこうなのかな、とも思うが、どうも「動かさない」のではなく、「動かせない」のではないかと思える。
 この中でもかねひさ和哉さんの作品などは、シンプルな絵柄にシンプルな動きではあるが、計算した上できちんとコントロールされた絵の動きで表現されているように思えるのだが、他の作品の多くは絵の動きを表現の手段としては使っておらず、映像構成で勝負しているようである。
 「こんなに動画を使って大丈夫なのか」と思えるような自主制作アニメもあるし、人形や立体のアニメもあるのであるから、現在の自主制作アニメを総括するのであれば、そういうものを含めてバランスよく紹介して欲しいものである。
 この特集で取り上げたのは、自主制作アニメではなく、インディーアニメです、という事なのかな。はて。
   

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